2016年にデビューしたヨットマスターの116621は、2018年にヨットマスター全体のモデルチェンジを受け、デビュー2年後というタイミングで生産終了となっています。
ただ、そのモデルチェンジの内容は、主にムーブメントの変更といったところで、後継モデルの126621と116621の見た目的な差はほぼありません。
そのため、116621はこの数年間、特に抜きん出て高いとわけでもなく、おおよそ140万円台といった感覚がありました。
この140万円程度というのは、2019年7月や2020年12月水準が該当するわけですが、他のヨットマスター水準からすると「RGコンビ」にふさわしい価格帯だったと思います。
そういった時期、同じ世代の116622は、おおよそ110万円台といったところ。ですから、116622よりも新しく、「RGコンビ」という内容の116621が140万円程度だったのは違和感ない価格帯だったといえます。
ちなみに、5桁世代の『ロレジウム 対 YGコンビ』の相場をみても、16622よりも16623(YGコンビ)のほうが数十万円高という傾向となっています。
ですから、この116621を含めたヨットマスターの水準は、全体的に安定している印象があるといえるわけです。
しかし、そんなヨットマスターには今、異変が起きているのです。
それこそが、この116621が抜きん出て高くなったということなのですが、なんと今、ブラウン文字盤は約172万円という水準に到達しているわけです。
ちなみに、現在116621全体としてのボトム価格は、黒文字盤の約163万円。これまで116621は140万円前後といった感覚だったわけですから、黒文字盤を例としても、やはり「異変が起きた」といえる状況になっているかと思います。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年12月 の安値 |
2021年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ヨットマスター ブラウン文字盤 116621 |
中古 | 0年 7ヶ月 |
¥1,400,000 | ¥1,729,000 | 329,000 | 123.50% |
なお、同じ6桁世代でも、ロレジウムの116622についての変化は、110万円台⇒120万円台にとどまっているため、この116621が目立って高くなっている状況だといえるわけです。
なぜ、今のタイミングでこの116621が目立った上昇となったのかは、はっきりとは分かりませんが、考えられることとしては、K18腕時計の上昇トレンドといったことがあるでしょう。
とはいっても、この116621はコンビ。通常「K18腕時計上昇トレンド」に反応するのは、オールゴールドの腕時計であります。
そうであるにも関わらず、なぜこの116621が「K18上昇トレンド」に影響されたと考えられるのは、「RGコンビ」という点があげられます。
現在、ロレックスのRG系は全体的に高くなっている印象ですが、“RGコンビ”という観点で、この116621を見た場合、140万円台という以前の水準を見ると「安い」と感じられるわけです。
従来から、ロレックスのコンビモデルにはYGが採用されていましたが、RGの採用は2004年以降。それでもあまり採用事例が多くはなく、実際スポーツ系でのRGコンビは数えるほどしかないでしょう。
そういったことからも、RGコンビとして140万円台という水準が、現在の感覚だと「安い」となるわけで、今回のような変化があったのだと筆者は推測しています。