同じ型番のモデルでも、特定の年式など、ある条件によって「評価が大きく変わる」という現象がありますが、そういったことはロレックスが主という感覚があります。
けれども、実はパネライでもそういった現象があるわけで、実際20年前から起きているのです。
それこそが、「PreA、A番、B番の一部」といった要素であるのですが、それらに共通するのが「トリチウム」という点です。
このようなことは、昔からの時計ファンには“常識”であるでしょうが、最近では忘れられつつあるといえるかもしれません。
実際、パネライは2016年頃までロレックスと同じような値動きをしていたといえ、特にそういったことは「A番」といった時代に関連するモデル、特にルミノールベースなどで見られました。
それが2017年以降においては、「全体的に高い」という感覚がある時期でも、変動が起こらないというパネライがそれなりに増加。特に、それまで値動きしていたはずのルミノールベースは、30万円台後半という水準が長く続いている様子があります。
そういったことから、ルミノールベースという腕時計は、なんとなく、いつでも40万円ぐらいで購入可能という感覚になってしまうかもしれません。
実際、このPAM00002をもってしても、現在のボトム価格は約43万円(ABランク以上)。112番などよりは高い水準であるものの、40万円前後という範疇に収まるといえるでしょう。
しかし、そんなPAM00002を持ってしても、「A番」、「トリチウム」という要素が加わると、その相場は一気に上昇。
現在水準は約94万円といったところなのですが、実は2014年水準でも約81万円。いつの時代でも「明らかに高い」のが、このA番といったトリチウム世代であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年10月 の安値 |
2021年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ルミノールベース A番 トリチウム PAM00002 |
中古 | 6年 9ヶ月 |
¥811,000 | ¥944,800 | 133,800 | 116.50% |
この「A番」というのは、1998年製造のことを指すのですが、PreAが1997年、B番が1999年であります。
B番の途中までの発光塗料がトリチウムで、それ以降がルミノバ。そのトリチウム文字盤がレアとされ、2000年代前半からかなりな評価となっています。
そして、そのような評価は、通常のルミノールベース相場が安価といえる状況の今でも変わりないわけで、やはり「トリチウム」の評価はすごいのだと感じられます。
最近では、そこまで話題にならない中古のパネライでありますが、実際このような面白い存在がいくつもあるわけで、そろそろ再注目されても良いのではないかと思います。