ミルガウスの116400GVは、2007年のデビュー時において、当時現行だったデイトナ116520を遥かに上回る水準だった反面、アベノミクス以降においては、そこからほぼ回復しないという経緯があります。
そのため、なにかと「伝説」ともいえるモデルであるわけで、筆者としては、ずいぶん前から“伝説”をもう一度期待していました。
例えばですが、再びSSデイトナ以上の中古相場になるということが起きれば、まさに伝説に残る値動きだといえます。また、そういったことを達成する際、「長らく安価な状態が続いていた」ということになれば、より一層「インパクトが強い」ということになったでしょう。
しかし、そんなミルガウスの116400GV黒文字盤は、少なくとも1年前の段階から「異例さがない値動き」となっていたのです。
116400GV黒文字盤は、他の人気モデルとは全く異なる値動きをするという傾向があったといえましたが、2020年5月においては、他と同じように下落していました。
最初の緊急事態宣言時に、多くの腕時計は下落したわけですが、それまでの116400GVに対するイメージからは、そういった時期に逆に値上がりしても不思議ではなかったのです。
そして、その後から今に至るまで、116400GV黒文字盤には、異例な動きという様子が全くない状態が続いています。
この1年において、116400GVに起こった異変といえば、「116400白文字盤よりも安くなった」ということがあったものの、基本的には“異例”とはかけ離れた動きかただったといえます。
ただ、“異例さ”とは無縁ということは、116400GV黒文字盤の値動きは、それなりに優秀になっているということでもあるわけです。
116400GVは、今まさに普通に上昇しているといえるわけですが、どうなっているかというと、約93万円というボトム価格なっているのです。
2020年10月の段階では、81万円だったわけですから、9ヶ月で12万円ほどの上昇となったということになります。
3年ほど前までの116400GV黒文字盤の動きかたを考慮すると、現在の様子は、かなり優秀になっているといえます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年10月 の安値 |
2021年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ミルガウス 黒文字盤 116400GV |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥810,000 | ¥935,000 | 125,000 | 115.43% |
このように“優秀な値動き”をしている状態の116400GVですが、現在の様子は、特に大きなインパクトがないともいえます。
実際、現在水準は2017年頃と比べるとかなり高い状況となっているわけですが、2007年や2008年上半期の水準にはまだまだ届きません。
この116400GV黒文字盤の2008年6月における新品実勢価格(安い順の5社平均値)は、約158万円。2008年6月水準は、2007年のデビュー時と比べると落ち着いていたものの、それでも150万円台という水準だったわけです。
しかし、同じ2008年の12月における新品実勢価格(安い順の5社平均値)は、約65万円。リーマンショックを挟んだ半年で、約93万円もの値下がりとなったのが、この116400GVであります。
新品実勢価格が約65万円となってしまった2008年12月以降、アベノミクスを経ても、なかなか65万円以上という中古相場にならなかった116400GVは、いつしか「それほど高いモデルではない」という認識になってしまったことでしょう。
しかしながら、リーマンショック前の新品実勢価格は、実に約158万円という、当時の現行SSデイトナを大きく上回る水準だったわけです。
ですから、約93万円という現在の中古水準は、値動き的には優秀であるものの、2008年の新品実勢価格までは、まだかなり遠い状態であるのです。