今でこそ、サブマリーナデイトは、“高い方”のスポーツモデルという存在感でありますが、「ロレックスブーム」といわれていた2000年代前半においては、“そこまで高くない”というイメージがありました。
90年代後半から2004年頃までの価格序列は、エクスプローラーが最も高く、EX2(黒)が2番目、3番目がシードゥエラーで、4番目がEX2(白)という序列。そして、5番目に高いのがこのサブマリーナデイト、6番目がGMTマスター2、最も安いのがサブマリーナノンデイトとなっていたわけです。
サブマリーナノンデイトは、当時ノンクロノメーターだったということもあり、最も安価なのは仕方がないという感覚だった一方、定価の観点からするとGMTマスター2はかなり評価されていないといえました。
そのため、当時の雰囲気としては、『不人気なGMTマスター2、オーソドックスなサブマリーナデイト』といったところがあり、これらは“ありがたがられる存在感”ではなかったわけです。
ちなみにですが、2004年頃まで16610は、新品が約38万円といった価格帯で入手可能でした。その当時はドン・キホーテが積極的に高級腕時計を扱っていたのですが、近所のドンキで38万円ぐらいで売られているというのが、当時の16610だったわけです。
しかし、そんな16610は、2006年頃から価格が上昇。2007年の新品実勢価格では、“上のほう”といった立ち位置になっており、50万円以上という水準に達していたのです。
とはいっても、中古相場となるとさすがに50万円以上という水準にはなかなかならず、2007年頃でも30万円台後半で購入可能という傾向があったといえます。
ただ、アベノミクス以降の時代になると、16610の中古相場は50万円以上に到達。2016年2月の段階では約54万円という水準に達していたわけですが、これは2000年代前半の様子からすると「驚き」という印象でした。
そして、16610はその後も上昇。他のモデルと比べるとゆっくりという感覚はあったものの、昨年2020年10月の段階では、約82万円という中古ボトム価格に到達しています。
その際は、2019年9月水準と比べて5万円の上昇という伸びに過ぎなかったのですが、それでも「80万円台」という16610の水準はインパクトが大きかったといえます。
さて、そんな16610ですが、80万円台になったと驚いてから9ヶ月後の今、再び価格ステージが変化した様子があります。
現在、この16610は、なんと約98万円という水準にまで到達。9ヶ月間で『80万円台⇒90万円台』となったことに驚くわけですが、その期間での変動額が16万円程ということも凄いと思います。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年10月 の安値 |
2021年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
サブマリーナ 16610 |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥825,000 | ¥988,000 | 163,000 | 119.76% |
これまで16610は、ゆっくりという動くという傾向があったわけで、実際、『70万円台⇒80万円台』となるまでには2年近い時間がかかっていました。
また、一度に変動する額も10万円以下といったことが多かったといえ、2016年以降の観測では、10万円以上という変動額となったことはありませんでした。
それが、今回の値動きでは、9ヶ月で約16万円という値動きをしているわけですから、この5年における16610の変動としては、最も大きな出来事だといえるわけです。