文字盤におけるインデックスや文字などを表現する際、予め彫った箇所に塗料を流し込み、文字を立体的に見せる手法はどの一般的に高級腕時計に採用されている。あえて『流し込み文字盤』と呼ばれるのはオフィチーネパネライにおける『サンドイッチ文字盤』との区別を分かりやすくするためである。
そのため『流し込み文字盤』という言葉は主にオフィチーネパネライの腕時計に使われる。
また、流し込みで表現されるのは盛り上がった凸型のものだけでなく、凹みを表現しているものもある。
ただし、流し込みの場合、ブランドロゴなど文字表記に使われることが多いため、立体的な凸型で表現されたものが多い傾向である。
文字盤における文字表記を単なる文字ではなく立体的な芸術作品として形成するために、流し込みは有効な手法である。
パネライにおける流し込み文字盤
パネライの特徴の1つであるサンドイッチ文字盤は1950年代に製造されたイタリア海軍モデルでも採用されている構造であるが、通常モデルで一般的に採用されたのは2005年以降である。ただ、流しこみ文字盤とサンドイッチ文字盤、どちらが明らかに高いということはない。例えば、2000年頃までに製造されたパネライはそれ以後のモノと比べて高値の傾向であるが流しこみ文字盤である。特に、1997年以前の「プレヴァンドーム」と呼ばれるモデルは200万円以上が当たり前の相場であるが流しこみ文字盤を採用している。