廉価モデルかつマニアックでもレア感もないという、スピードマスターの3510.50は、これまであまり値動きをしない傾向がありましたが、数の多さからしてもそういった傾向は「当たり前」といえたでしょう。
けれども、そんな3510.50は、決して値動きしないというわけではなく、「2年」といった単位で見るときちんと値動きしているという経緯がありました。
例えば、2018年5月⇒2020年7月にかけての値動きは、「2万円の上昇」でありますが、このような値動きでも、「廉価かつマニアックでもない」という3510.50のキャラクターからすると「すごく優秀」だと感じられました。
そして、そんな3510.50は、今年2021年になると、それまでとは明らかに異なる値動きを見せるようになります。
2020年7月の段階で約15万円だったのが、今年3月に約18万円となったのですが、これは8ヶ月という期間で3万円の上昇という値動き。それまでの3510.50の様子からすると「凄い値動き」といえたわけです。
そんな3510.50ですが、そういった“勢い”は、現在でも続いている様子があります。
3510.50の現在水準は、なんと約23万円(ABランク以上)という状況に達しているわけで、ついに20万円以上という水準になったことに驚きます。そして、これは「5ヶ月で5万円以上の上昇」という値動きであるのです。
先のように、3510.50は、「廉価モデルかつマニアックでもない」わけですから、このような値動きがしづらいわけで、現在の様子は「3月の凄い値動きよりも、更に凄い」といえる状況だと感じられます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2021年3月 の安値 |
2021年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
スピードマスター 3510.50 |
中古 | 0年 5ヶ月 |
¥184,800 | ¥238,000 | 53,200 | 128.79% |
なお、この3510.50のボトム価格には、以前からBランクやCランクといった個体がある傾向がありますが、現在の様子を見るとそういったランクでも20万円以上となっていることに驚きます。
3510.50の中古相場は、少し前まで10万円台前半が当たり前という感覚でしたが、今となっては20万円以上。3510.50のように、「廉価モデルかつ数が多い」というハンディがあるモデルでも、こういった値動きとなったのは「驚くべきこと」だと思います。
ちなみに、この3510.50の5年ほど前の様子はどのようだったかというと、約11万円という水準でした。
それが現在では、約23万円(ABランク以上)ですから、3510.50はこの5年の間に倍以上となったということになります。
「過去相場と比べて倍」という現象は、これまでいくつもの事例があるため、珍しいとはいえませんが、この3510.50のような「廉価モデルかつマニアックでもない」というキャラクターではかなり稀です。
以前から述べているように、この3510.50のように「初心者受けする」というキャラクターを持つモデルは、マニア目線では魅力を感じづらく、個体数が多いという特性があるため、「供給<需要」となりづらいわけです。
そうであるにも関わらず、2016年⇒2021年で倍以上となった3510.50は、歴史を覆すモデルだといえるかもしれません。