2013年に発表されてから、2019年の生産終了まで、「最も人気なロレックス(デイトナ以外の存在において)」というポジションに位置したGMTマスター2の116710BLNR。
デビュー時から、生産終了に至るまで、その新品実勢価格は常に定価以上といっても過言ではなく、中古相場を見ても「抜きん出て高い」という印象がありました。
当初は、90万円台でも割高という印象だったのが、気づけばその中古相場はどんどんと上昇。そして、2019年には、「生産終了」と「2019年上半期の上昇トレンド」が重なり、170万円台という水準に達したのです。
しかし、その後は「2019年夏⇒2020年夏の断続的な下落トレンド」が発生したことにより、この116710BLNRの相場は、2019年5月の約173万円をピークとして、それよりも低い状態が続いていました。
ただ、今年になると、2020年にはなかなか『回復からの上昇』とならなかったモデルが『回復⇒上昇』という様子に変化する事例が増えたこともあり、この116710BLNRも4月の段階で、ようやく「2019年上半期水準を上回る」という様子を見せていました。
その際の水準は、176万円だったのですが、これは2019年5月の約173万円を「3万円上回った」という状態でした。
5月の段階で「2019年上半期超え」となったのは、どちらかというと「かなり遅い」部類だといえますが、2019年水準との比較で「3万円の上昇」という差も、他のモデルと比べるとやや寂しいといえます。
実際、かつてはこの116710BLNRよりも安価な傾向だった、サブマリーナの116610LVは、生産終了以降「上昇⇒下落⇒回復」という経緯を挟んだものの、現在水準は約220万円といったところ。
それに対して、この116710BLNRは、今年4月の段階で176万円という状況だったため、かつての勢いを感じられないともいえるかもしれません。
けれどもそんな116710BLNRは、決して値動きしていないわけではありません。
4月に176万円だった116710BLNRは、8月の今、約185万円という状況に変化。これは『4ヶ月で約9万円の上昇』であるため、他のロレックスと比べるとそこまで派手ではありませんが、それなりにインパクトがあるともいえます。
その理由は、180万円台という中古ボトム価格が、筆者がこれまでに見た116710BLNR水準としては「初」だからであります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2021年4月 の安値 |
2021年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター2 116710BLNR |
中古 | 0年 4ヶ月 |
¥1,760,000 | ¥1,856,800 | 96,800 | 105.50% |
これまで、デイトナを除くと一番人気という印象だった116710BLNRですが、ここ1年2年ぐらいは「これよりも目立つ存在がそれなりにある」というように変わっているとも感じられます。
そういったことは、5月まで「2019年水準をなかなか超えなかった」ということや、初の180万円台という現在水準をもってしても、2019年5月水準との相場差が12万円程度にとどまるという点からもいえるかと思います。
けれども、そんな116710BLNRは、サブマリーナの116610LVと相場を争うという傾向が以前まであったわけです。
そういったことや、2年ぐらい前までの116710BLNRの様子を考慮すると、180万円台という現在水準は、今の全体的な相場状況からすると相対的に「お得感がある」といえるような気がします。
ただ、それは、今後116710BLNRがどっちの方向になるかによって変わるでしょう。
例えば、かつてのように116710BLNRが116610LVとライバル的な水準になるのであれば、緑サブ並かそれ以上の価格帯となっても不思議ではありません。その一方で、「トレンドの変化」という現象が起こったならば、この116710BLNRも、かつて1番人気(デイトナを除く)というポジションだった、エクスプローラー14270のようなことになるかもしれません。
ですから、今後の値動きがどうなるかによって、この116710BLNRに対する印象が変わってくるわけで、今後数ヶ月という期間が116710BLNRにとって重要な期間になるのではないかと筆者は思っています。