筆者が個人的に好きな腕時計の1つである、パテックフィリップの5055G-001。昔から好きな1本であるため、この20年ぐらいの相場を記憶しています。
2003年頃の新品実勢価格は180万円前後、2007年頃の中古相場は230万円以上といった感覚でした。
2007年といえば、リーマンショック前の時代において、2008年上半期とともに最も高い時期だったわけですが、その頃しっかり上昇していたことから、「きちんと値動きするモデル」という印象があったのです。
そして、リーマンショック後の時代には160万円台にまで下落したわけですが、アベノミクス以降は再び上昇。特に2015年頃には、250万円前後といった水準になっていたため、2007年水準よりも高くなったということになります。
しかし、その後5055は、この5055G-001に限らず全体的に安くなる傾向へ変化。特に2017年頃からそういった状況が続き、2019年上半期といった時代においてもそういったことが続いていたのです。
その結果、この5055G-001は、2017年から最近まで長らく210万円前後で購入可能という状況となっていました。
この5055G-001が210万円前後という水準だった際、5085/1Aも同じような水準だったわけですが、SSの5085/1Aと5055G-001が近い価格帯になっていたというのは意外だったと同時に、どちらも安くなってしまっているという印象だったといえます。
けれども、そんな5055G-001は、2021年の今、この数年では考えられなかったような状況へと変化しているのです。
ではどうなっているかというと、この5055G-001のボトム価格は、今、なんと約317万円という様子になっているのです。
前回お伝えした2019年1月水準が約215万円だったわけですから、100万円以上の上昇という状況であります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年1月 の安値 |
2021年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
コンプリケーション 5055G-001 |
中古 | 2年 7ヶ月 |
¥2,157,840 | ¥3,179,999 | 1,022,159 | 147.37% |
今年2021年という年に、この5055G-001は久々の上昇となったと同時に、過去最高値といえる水準に到達しているわけですが、こういった「久々に上昇」という事例は、今回が初めてではないのが興味深いといえます。
その1つが、この5055と同じ世代の5085/1A-001。長らく200万円前後という水準が続いていた5085/1A-001は今年6月の段階で、約267万円という水準に到達し、今では280万円台となっている様子です。
そして、もう一つがランゲ&ゾーネのランゲ1。2015年頃まで、ランゲ1は安いものでも260万円台以上といった感覚だったわけですが、なぜだか2017年頃からは、200万円を切るという状態になっていたのです。
そうなっていたのは101.021でありますが、なんと今年5月の段階で101.021は、322万円にまで上昇。長らく200万円前後だったのが、一気に300万円以上になったわけです。
今回の5055G-001の様子は、5085/1A-001やランゲ1などと共通する動き方だと感じられますが、『2015年頃高かったのに、2017年頃から安くなってしまった』というモデルが、再び上昇しているのは興味深い出来事だといえます。
2017年以降、人気モデルを中心に、多くのモデルが「それまで以上の上昇」という様子となったわけですが、なぜだかそのような時期に元気がなかったのが、今回お伝えした5055G-001等のモデルです。
そのようなモデルが久々に上昇したというのが、今年2021年でありますが、他にも「値上がり難易度が高いモデル」が上昇する様子もあるなど、2021年は過去最高に上昇トレンドが強い年といえる状況だと感じます。