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現在相場考察

クォーツが300万円台に達している様子、アクアノート5064A-001

2021年9月15日更新
パテックフィリップのアクアノート5064A-001について斉藤由貴生が執筆。本記事では2020年7月の安値と2021年9月の安値を比較し現在相場を考察。この1年2ヶ月での変動は¥1,276,000だった。

アクアノート 5064A-001についての考察(2021年9月)

90年代後半頃の雲上スポーツモデルには、80年代文化の名残があったといえます。

その名残は「何」かというと、クォーツモデルが用意されていたという点です。

今では、雲上スポーツのメンズモデルの「クォーツ」は、皆無と言ってもよいぐらい見かけない状態ですが、90年代後半頃までは、いずれの雲上スポーツモデルにもクォーツは用意されていました。

1970年代にデビューしたロイヤルオーク、ノーチラスはもちろん、90年代にデビューしたオーバーシーズとアクアノートにもクォーツモデルがしっかり存在したのです。

ちなみに、現行モデルでも、ロイヤルオークとアクアノート等にはクォーツが用意されていますが、「はっきりとしたメンズサイズ」というくくりではないといえます。

ですから、一見、機械式しかラインナップされていなさそうな雲上スポーツにメンズのクォーツがあったというのは、今の時代の感覚からすると、逆にレアとなるでしょう。

クォーツムーブメントを搭載するモデルは、これまでアクアノート等に限らず、全体的に不人気な傾向でした。ただ、2019年からはロレックスのオイスタークォーツがそれなりに上昇するなど、近年ではクォーツムーブメントのモデルも、その独特さが評価されているといえます。

そして、今回お伝えする、アクアノートの5064A-001もまた、過去とは随分変わった評価となっている模様。

この5064A-001は、これまでメンズサイズのアクアノートとしては、抜きん出て安い価格帯に位置していました。2002年と昔のことではありますが、筆者が見た最安値としては税別37万円ほどという記憶があります。実際、2005年時点のヤフオクでも約38万円で落札されていました。

そんな5064A-001ですが、2015年8月には約89万円という水準になるなど、決して値動きしていないというわけではありません。

数が少ないため、中古個体の登場頻度は1年に一度といった程度ではありますが、2018年6月が約132万円、その1年後の2019年6月は約203万円と、これまでそれなりに上昇してきていました。

しかし、2020年7月には、断続的な値下がりトレンドと新型コロナに伴う最初の緊急事態宣言の影響により、この5064A-001は値下がりしてしまいます。その際は、約178万円という水準に下落していました。

さて、それから1年2ヶ月が経過したわけですが、このクォーツアクアノートの現在の様子はどうなっているかというと、なんと300万円台に達している様子であります。

2020年7月に約178万円だった5064A-001は、2021年9月現在では約305万円。実に、127万円ほどの値上がりとなっているのです。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2020年7月
の安値
2021年9月
の安値
変動額 残価率
パテックフィリップ
アクアノート
5064A-001
中古 1年
2ヶ月
¥1,782,000 ¥3,058,000 1,276,000 171.60%

アクアノートとはいえ、クォーツモデルが『1年2ヶ月で約127万円の上昇』という値動きになるのは、インパクトがあるといえます。

ここ20年程の常識では、「クォーツ=不人気」であるわけですから、こういった価格帯にまで上昇するというのはありえないと思われても不思議ではありません。

なお、この5064A-001と同じ33mmサイズの機械式はどうなっているかというと、5066A-001は約443万円という状況。実は、機械式対クォーツという観点では、2020年7月と、2021年9月現在は同じ比率という様子。そういった意味では、この5064A-001は「クォーツだから」上昇したわけではなく、他のアクアノートと同じように伸びたということになります。

ただそれでも、「機械式と同じように伸びた」わけですから、かつての「クォーツ=不人気」というイメージからすると、クォーツは以前よりも評価されるようになったといえるかと思います。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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