一般的な「腕時計好き」という目線で、かつて最も憧れの対象といえた存在は、4桁デイトナだったといえます。
もちろん、当時から4桁デイトナよりも高い価格帯の腕時計はいくらでもあったのですが、“多くの人に知られていて、高くて格好良いモデル”という観点では、4桁デイトナがその王座にいたといえます。
4桁デイトナ含め、4桁のスポーツロレックスは、90年代後半頃「アンティーク」と呼ばれ、「いつかはアンティーク」といった憧れられる立ち位置だったわけです。
今現在の常識では、現行モデルが最も高いといえるかと思いますが、2000年前後といった時期においては、当時の現行モデルよりも、旧型である4桁世代のほうが高い価格帯となっていました。
その中で、最も高かったのがこの4桁デイトナだったのですが、ポール・ニューマンが高いのはもちろん、そうでない通常の6263、6265といったモデルも当時の相場からすると「かなり高い」と感じられる価格帯に位置。
そして、そういったことは、それから15年以上が経過した、2010年代半ばという時代でも同様でした。例えば、2017年においてこの6265黒文字盤は、約881万円という水準だったのです。
2017年12月といえば、様々な腕時計の値上がりが目立っていた時期ですが、それでもノーチラス5711/1A-010は400万円台という様子。デイトナ116506も600万円台に位置していました。
ですから、そういった状況下において、800万円台という価格帯だった6265は、「さすがは4桁デイトナ」といった感覚だったといえます。
しかし2021年の今となっては、そういった「アンティーク」の勢いは、かつてよりも随分弱まっているといえる状況にも見受けられます。
実際、多くの腕時計が目立った上昇となっている今年2021年において、4桁世代では、未だ「2018年水準と大きく変わらない」というモデルがある様子。先日お伝えした、GMTマスターの1675(青赤)がそれに該当します。
そして、そういったことは、なんと4桁デイトナでも同様であるのです。
この6265黒文字盤(ビックデイトナ表記)の現在水準は、なんと869万円という状況なのですが、これは2017年12月水準よりも安価であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年12月 の安値 |
2021年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
デイトナ ビッグデイトナ 黒文字盤 6265 |
中古 | 3年 9ヶ月 |
¥8,812,800 | ¥8,690,000 | -122,800 | 98.61% |
なお、この6265には、
などがあり、それぞれ相場が異なります。
ポールニューマンがべらぼうに高いのは有名ですが、それ以外では、スモールデイトナよりもビッグデイトナのほうが高い評価となっている模様です。
そして、ビッグデイトナの黒文字盤という条件での比較では、2017年12月水準よりも安価という状況。ちなみに、スモールデイトナの黒文字盤と比較してしまうと、さらに下落していることになります。
こういったことからも、6265の相場は2017年から大きな変化がないといえるわけですが、その結果、相対的な立ち位置はかつてとは変わっているわけです。
先程例として出した、ノーチラス5711/1A-010は現在1300万円台、デイトナ116506も1300万円台。2017年時点では、この6265よりも安価な価格帯に位置していた両者は、今や6265の倍近い水準にまで上昇しているのです。
そういった意味では、この6265含め、かつて人気だった4桁世代は元気があまりない状況だといえます。
ただ、こういった状況は、筆者からすると、実はチャンスなのでは、というふうにも見えるのです。
今後、こういった4桁世代への評価がどうなるかはわかりませんが、「魅力があって、数が多くない」ということは確かです。
そういった意味では、4桁世代は、今なかなか穴場的な選択肢だと感じます。