2020年7月にこの3712/1A-001を取り上げた際、「お得感」という珍しい状況だったわけですが、なぜかというと、他のノーチラスと比べて「そこまで高くない」という水準だったからです。
この3712/1A-001は、2005年に登場したノーチラス初のコンプリケーションモデルですが、翌年2006年に5712/1A-001に改められたため、わずか1年しか生産されていないという希少モデル。
見た目がそっくりな両者ですが、3712/1A-001と5712/1A-001には、腕時計ファン目線ではグッと来る「差」があります。
具体的には、3712/1A-001がワンピース構造という点が最も大きいのですが、その他にも文字場のバーインデックスの一部の長さが異なるといった違いがあります。
生産期間が短いことと、先のようなレア要素があるために、この3712/1A-001は、生産終了となった2006年頃の段階で、すでに「希少モデル」というキャラクターとなっていました。
2005年前後に出たノーチラスには、この3712/1A-001の他にも、レアモデルがあるのですが、それらが「レア」と認識され始めたのが2010年代になってからと、遅かったのに対し、3712/1A-001は早い段階からレアモデルとされていたわけです。
そして、「レアモデル」だけあって、この3712/1A-001の相場は、5712/1A-001など、他のノーチラスと比べて「ずいぶん高い」という水準が当たり前だったのです。
実際、ノーチラスのほとんどが1000万円以上となっていなかった2019年1月の段階で、この3712/1A-001は1260万円という価格帯に位置していたわけです。
しかし、2020年7月、そんな3712/1A-001は1180万円という価格で入手可能という状況。その時期といえば、下落トレンド真っ只中かつ、ノーチラスが全体的に安くなっていた傾向がありましたが、それでも、他のノーチラスとの“差”という視点では「お得感」があったのです。
そんな3712/1A-001ですが、そういった状況を是正するかのように、随分派手に値上がりしている様子があります。
では現在、この3712/1A-001はどうなっているかというと、なんと2178万円という様子。
この1年2ヶ月での変動額が、998万円の上昇という「凄まじい値上がり」であることに驚くのはもちろん、ついに2000万円以上という価格帯に達しているのです。
それと同時に他のSSノーチラスが、1000万円~1500万円程度という状況の今、この2000万円以上という水準は、レアモデルらしい価格に戻ったともいえます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年7月 の安値 |
2021年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 3712/1A-001 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥11,800,000 | ¥21,780,000 | 9,980,000 | 184.58% |
なお、この記事の個体は、未使用品という凄まじいコンディションでありますが、ABランク3712/1A-001と同じ価格だったため、これを相場として紹介しています。
5711/1A等が1000万円以上という水準に達している今、3712/1A-001の2000万円以上という価格は、過去の関係(2020年以外)を見ると、違和感ないと思います。