アクアノートの登場は、1997年ですが、実はその前年から存在していたのが、この5060/SJであります。当初は、5060/SJという型番で、その後は5060Jに。また、5060SJという型番もあるようです。
そのため、中古相場の観点では、3つの型番を追い、それらが「同一」とみなして判断するのが分かりやすいといえます。
この5060/SJは、アクアノートが登場していない時期には、ノーチラスとして販売されていましたが、アクアノート登場後は「アクアノートのYGモデル」に変化。1997年がアクアノートの初期世代といえる時期ですが、その頃ラインナップされていたのが、初代アクアノートの5060Aと、この5060/SJでした。
それが1998年に、アクアノートのラインナップは、5066と5065に変化。そのため、5060Aは生産終了となったのですが、5060/SJは「革ベルト版のYGモデル」として残り続けていた模様です。
なぜ、そういえるかというと、1997年の初期モデルの“デイトフォント”が明朝体なのに対し、1998年モデルからゴシック体に変化したからです。
5060/SJの時代は、明朝体ですが、この記事の個体、5060Jはゴシック体。おそらく、5066J、5065Jなどが登場してからもラインナップされていたのだと推測できます。
このように、5060J(5060/SJ)は複雑な歴史を持つモデルであるわけですが、それと同時に、アクアノートとして、唯一以下のような要素を持っているという側面もあります。
それらは、
であるわけですが、いずれも他のアクアノート(男性用)には採用されていません。
そういった意味では、5060Jは非常に興味深い1本だといえるのですが、その相場はどうなっているかと、今現在は5066/1Aと同程度といった様子。
もちろん、この1年半という期間では、139万円もの上昇という値動きとなっているわけですが、これは「アクアノート」としての評価であり、「5060/JA」に対する特別な評価ではないといえるかと思うのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年5月 の安値 |
2021年11月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
アクアノート 黒文字盤 5060J-001 (5060SJ) |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥3,090,000 | ¥4,480,000 | 1,390,000 | 144.98% |
2020年夏からK18モデルの目立った上昇がありますが、そういったことを考慮しても、この5060Jが5066/1Aと同水準というのは、お得感があるように感じられます。
5066/1Aは、2020年12月頃まで230万円台といった様子だったわけですが、それが今や440万円台という状態。2020年時点では、5060J(5060/SJ)よりも遥かに安価な価格帯だったのが、今や同水準となっているのです。
そういった意味では、5060Jは、“追いつかれた状態”ともいえるため、以前のように5066/1Aよりも高い価格序列という立ち位置に戻っても不思議ではないと思います。