2021年になるまで、長らく値動きしなかったオーバーシーズですが、その中でも特に動いていないと感じたのが、第1世代のクロノグラフでした。
第1世代において、クロノグラフという存在は特別なモデルといった感覚だったわけで、新品時代の実勢価格は、3針の2倍近い水準といっても過言ではありませんでした。
例えば、2001年の新品実勢価格は、3針オーバーシーズ(自動巻、ラージ)が約54万円といったところだったのに対し、クロノグラフは約92万円。ちなみに、当時の定価は、3針が84万円、クロノグラフが145万円でした。(いずれも税別)
その頃、90万円台という新品実勢価格だったのは、パテックフィリップアクアノートの5065/1A。ノーチラスのジャンボサイズ、3710/1Aですら約83万円という新品実勢価格だったのです。(いずれも税別)
ですから、現行当時、クロノグラフのオーバーシーズは、当時のSSラグスポの中で、最も高値といった印象だったといえます。
しかしながら、そんなクロノグラフのオーバーシーズは、ノーチラスなどの値動きが活発化した2017年以降も、全くといっていいほど値動きせず、そういった状態が長らく続いていたのです。
なお、この第1世代のオーバーシーズクロノグラフでよく見かけるのは、バーインデックスの銀文字盤(49140/423A-8790)ですが、実はアラビアインデックスの黒文字盤(49140/423A-8886)も存在します。
このデザインの黒文字盤は、3針にも採用。3針では、バーインデックスの黒文字盤も存在するため、2種類の黒文字盤がラインナップされていました。
このアラビアインデックスは、やや好みが分かれるデザインといえますが、そういったこともあって、2000年代前半頃といった時期、その相場はバーインデックスと比べて安価といった印象でした。
しかしながら、2010年代後半になると、そういったキャラクターに対して「レア感」が芽生え、アラビアインデックスは評価されるようになっています。
クロノグラフについてそういったことが感じられるようになったのは、2019年5月の値動きだったのですが、当時「長らく100万前後」といったのが、約116万円という水準に達したのです。
ちなみに同時期、銀文字盤は104万円という水準。銀文字盤が110万円台となったのは、2020年3月と、黒文字盤に対して1年近く時間が空いています。
さて、2021年以降のオーバーシーズといえば、目立った値動きをするようになったわけですが、そういった影響もあって、銀文字盤は、今では200万円以上という水準に達しています。
では、アラビアインデックスの黒文字盤はどうなっているのか。
その答えは、278万円であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年5月 の安値 |
2022年2月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ヴァシュロンコンスタンタン
オーバーシーズ クロノグラフ 49140/423A-8886 |
中古 | 2年 9ヶ月 |
¥1,150,000 | ¥2,780,000 | 1,630,000 | 241.74% |
前回この黒文字盤クロノグラフ、49140/423A-8886をお伝えしたのは2019年5月でありますが、その際は115万円という水準でした。
この49140/423A-8886は、中古売出しがあまりないため、その後なかなか取り上げられずにいたのですが、次に取り上げるのが2022年になってしまった結果、その水準はもはや270万円台に達してしまったというわけです。
なお、銀文字盤についてですが、今年1月時点でのボトム価格は258万円となっていましたが、2月現在のそれは約217万円。2番目に安い個体でも約226万円となっているため、1月よりも落ち着いたといえる状況です。