2020年9月頃から、カルティエパシャの値動きが活発化しましたが、主に値動きするのは、パシャCという傾向があります。
パシャには、パシャ38mm、パシャC、パシャシータイマーなど様々な種類がありますが、いわゆる「腕時計ブーム」、「ロレックスブーム」などといわれた2000年前後の時期に、注目度が高かったのが、パシャCであります。
パシャCは、パシャ38mmをカジュアルな方向で解釈したモデルといえ、ラインナップもSSのみ。2000年前後のおける新品実勢価格は、文字盤色によっても異なりましたが、おおよそ28万円程度(税別)といったところでした。
これは、当時のデイトジャスト、16200と同水準。エアキングよりも高い価格帯という位置だったわけですが、それらロレックスと「どちらにしようか迷う」という比較対象だったといえます。
そして、その頃、パシャ38mmとなると、そのような価格帯では手に入らず、ずいぶん高い価格帯という状況。最も安価な、3針モデルでも約42万円(税別)という新品実勢価格だったわけです。
また、クロノグラフに至っては、約56万円(税別)。当時、このような価格帯は、一般的な人気モデルよりも“かなり高い”という認識だったといえます。
実際、パシャ38mmは、上級モデルという役割を担っていたわけですが、当時の新品実勢価格の立ち位置は、当たり前だったといえます。
そして、そういったキャラクターのパシャ38mmに、新作として2001年頃に追加となったのが、今回紹介するN950であります。
これは、プラチナベゼルを採用したモデルで、SSのパシャ38mmの上級版といった位置づけ。1999年に登場したヨットマスターロレジウムに影響を受けたモデルだといえます。
ちなみに、パシャ38mmにはブレスレットモデルと、革ベルトが用意されていましたが、このN950については革ベルトのみ。まれにブレスレットが装着されたN950の中古個体がありますが、おそらくブレスレットを後から購入し、装着したのだと思います。
このN950が出た時期は、腕時計への注目度が高くなってから、数年経過。「ロレックスの次に買う時計」として、パネライやフランクミュラーへの注目が徐々に高まっていたわけですが、このN950もそれらと同じように、時計ファンから興味を持たれていたといえます。
このように、デビュー時において評価が高かったN950ですが、2010年代後半時点では、中古相場が20万円台後半という様子。これは、GMTモデルのW3105055ですが、あまり評価されていなかったといえます。
そして、そういった傾向は、2020年8月になっても同様で、W3105055は約28万円という水準で難なく購入することができたのです。
なお、N950には、
の3つがあります。
2000年代前半の新品実勢価格では、『クロノグラフが最も高く、3針が最も安価』だったのですが、2020年頃までの中古相場では、不思議とGMTが最も安価という傾向でした。
そんなN950のGMTモデル、W3105055ですが、現在水準を見てみると、なんと40万円台となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年8月 の安値 |
2022年2月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャ38mm N950 W3105055 |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥289,500 | ¥409,940 | 120,440 | 141.60% |
2020年9月頃から、パシャの評価は高まっている傾向がありますが、これまでそういった様子が見られたのは、主にパシャC。同じ時期、比較的人気があったといえるパシャ38mmについては、そこまでの値動きがなかったのです。
それが、今、このN950が目立った評価となっているわけですから、ようやくパシャC以外の「パシャ」も評価されるようになってきたといえます。
なお、パシャ38mmといえば、『“アベノミクス後”よりも“リーマンショック後”のほうが高い』(ロレックス人気モデルとは逆)という傾向がありますが、このN950も、2017年5月水準が約29万円、2010年12月水準が約36万円でした。
長らく、リーマンショック後水準を超えることがなかったこのW3105055は、上昇した結果、今や40万円台となっているわけで、約11年ぶりに2010年12月水準を上回ったといえるのです。