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現在相場考察

40万円台となっている、パシャ38mmN950 W3105055

2022年2月25日更新
カルティエのパシャ38mmW3105055について斉藤由貴生が執筆。本記事では2020年8月の安値と2022年2月の安値を比較し現在相場を考察。この1年6ヶ月での変動は¥120,440だった。

パシャ38mm N950 W3105055についての考察(2022年2月)

2020年9月頃から、カルティエパシャの値動きが活発化しましたが、主に値動きするのは、パシャCという傾向があります。

パシャには、パシャ38mmパシャCパシャシータイマーなど様々な種類がありますが、いわゆる「腕時計ブーム」、「ロレックスブーム」などといわれた2000年前後の時期に、注目度が高かったのが、パシャCであります。

パシャCは、パシャ38mmをカジュアルな方向で解釈したモデルといえ、ラインナップもSSのみ。2000年前後のおける新品実勢価格は、文字盤色によっても異なりましたが、おおよそ28万円程度(税別)といったところでした。

これは、当時のデイトジャスト16200と同水準。エアキングよりも高い価格帯という位置だったわけですが、それらロレックスと「どちらにしようか迷う」という比較対象だったといえます。

そして、その頃、パシャ38mmとなると、そのような価格帯では手に入らず、ずいぶん高い価格帯という状況。最も安価な、3針モデルでも約42万円(税別)という新品実勢価格だったわけです。

また、クロノグラフに至っては、約56万円(税別)。当時、このような価格帯は、一般的な人気モデルよりも“かなり高い”という認識だったといえます。

実際、パシャ38mmは、上級モデルという役割を担っていたわけですが、当時の新品実勢価格の立ち位置は、当たり前だったといえます。

そして、そういったキャラクターのパシャ38mmに、新作として2001年頃に追加となったのが、今回紹介するN950であります。

これは、プラチナベゼルを採用したモデルで、SSのパシャ38mm上級版といった位置づけ。1999年に登場したヨットマスターロレジウムに影響を受けたモデルだといえます。

ちなみに、パシャ38mmにはブレスレットモデルと、革ベルトが用意されていましたが、このN950については革ベルトのみ。まれにブレスレットが装着されたN950の中古個体がありますが、おそらくブレスレットを後から購入し、装着したのだと思います。

このN950が出た時期は、腕時計への注目度が高くなってから、数年経過。「ロレックスの次に買う時計」として、パネライやフランクミュラーへの注目が徐々に高まっていたわけですが、このN950もそれらと同じように、時計ファンから興味を持たれていたといえます。

このように、デビュー時において評価が高かったN950ですが、2010年代後半時点では、中古相場が20万円台後半という様子。これは、GMTモデルのW3105055ですが、あまり評価されていなかったといえます。

そして、そういった傾向は、2020年8月になっても同様で、W3105055約28万円という水準で難なく購入することができたのです。

なお、N950には、

  • 3針(グリッド付き)
  • GMT
  • クロノグラフ
  • の3つがあります。

    2000年代前半の新品実勢価格では、『クロノグラフが最も高く、3針が最も安価』だったのですが、2020年頃までの中古相場では、不思議とGMTが最も安価という傾向でした。

    そんなN950のGMTモデル、W3105055ですが、現在水準を見てみると、なんと40万円台となっているのです。

    本記事で参考とした中古腕時計

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    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2020年8月
    の安値
    2022年2月
    の安値
    変動額 残価率
    カルティエ
    パシャ38mm
    N950
    W3105055
    中古 1年
    6ヶ月
    ¥289,500 ¥409,940 120,440 141.60%

    2020年9月頃から、パシャの評価は高まっている傾向がありますが、これまでそういった様子が見られたのは、主にパシャC。同じ時期、比較的人気があったといえるパシャ38mmについては、そこまでの値動きがなかったのです。

    それが、今、このN950が目立った評価となっているわけですから、ようやくパシャC以外の「パシャ」も評価されるようになってきたといえます。

    なお、パシャ38mmといえば、『“アベノミクス後”よりも“リーマンショック後”のほうが高い』ロレックス人気モデルとは逆)という傾向がありますが、このN950も、2017年5月水準が約29万円、2010年12月水準が約36万円でした。

    長らく、リーマンショック後水準を超えることがなかったこのW3105055は、上昇した結果、今や40万円台となっているわけで、約11年ぶりに2010年12月水準を上回ったといえるのです。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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