中古の腕時計を購入するときによく「チェックするべきだ」といわれるのが『付属品』ですが、投資用腕時計において付属品の有無はそれほど重要ではありません。確かに、内箱や外箱、アクセサリーや保証書などの付属品がすべて揃っている時計のほうが程度が良いという傾向がありますが、付属品が揃っているからといって相場よりも高く売れるわけではありません。
ただし、例外的に価格に影響を及ぼす付属品があります。それはメーカー正規サービスセンターの修理証明書です。この修理証明書は確実に本物であるという証拠になるので、投資用腕時計を売却する場合にも役立ちます。とくに信用度の低い個人がヤフオクで腕時計を売却する際に修理証明書は必須アイテムです。もしも修理証明書を再取得しようとするならば、必要のないオーバーホールや風防の交換といった修理を行うしかなく、最低でも1万円以上の出費をしなければなりません。この章の冒頭でも書いたとおり、とくにビンテージロレックスの修理証明書は時計本体の価値に影響を及ぼします。絶対に紛失しないように保管することを心がけましょう。また、フランクミュラーの正規品に限っては、正規品である証明書があることによりオーバーホールを受ける権利が与えられます。証明書をなくした場合、並行輸入品と同じ扱いになる危険性がありますのでこちらも注意が必要です。
本物として販売される時計が実はニセモノ、という可能性が低いことは先に書いた通りですが、付属品に関してはニセモノが混じっているということがあります。特にロレックスは、本体が本物でも箱がニセモノというケースがあったりします。時計本体の価値に影響は及ぼさないのですが、時計を売却する際にクレームになったら面倒な思いをするかもしれません。箱が本物かどうかの見極めは、正規代理店に修理依頼をしてもわからないので、どうしても知りたい場合は質屋などで査定をしてもらうという方法もあります。ニセモノの疑いが強く、売却するときにクレームにつながるのではないかと不安な場合は、いっそのこと箱を付属品から外してしまえばいいのです。箱がない時計も、箱がある時計もそれほど価格の差がありませんから。
腕時計投資のすすめ 164-165ページより抜粋 |