ルイヴィトンの腕時計といえばエルプリ搭載のフラッグシップモデルのイメージを筆頭に、なかなか強気の相場を維持しているというイメージでした。この3針クオーツムーブメントのシンプルな男性用も、2010年6月の時点では中古でも20万円を超える価格が当たり前。ちなみにその頃、この時計と同じ価格で買えたのはロレックス「エクスプローラ」の14270/114270です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年6月 の安値(ヤフオク) |
2016年8月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ルイヴィトン
タンブール Q1111 |
中古 | 6年 2ヶ月 |
¥228,900 | ¥118,000 | -110,900 | 51.55% |
高級腕時計として世界中で認められるは、基本的には以下の要素が入ったブランドです。
- マニュファクチュール
- 腕時計専門ブランド
- 宝飾ブランド
一方、腕時計をラインナップしていても一般的な高級腕時計の部類に入らないのが、
- レザーブランド
- ファッションブランド
です。
ちなみに、高級腕時計の要素を満たすかどうかは有名オークション会場で取り扱われているか、とか、時計専門店でロレックスやオメガなどと近い位置に展示されているか、などがヒントとなります。
そう考えるとなぜクオーツムーブメントのレザーブランドの腕時計がこんなにも高いのだろうか、と不思議に思う2010年の価格。
なぜこれこれが、ロレックスの人気モデルより高かったのか。
それは、ルイヴィトンに対するイメージが高値を後押ししていたのだと思います。
一般的に『ヴィトン』は最も知られる高級品かつ“高い”というイメージが有ります。そして、そのルイヴィトンが初めて時計を作って、さらにロレックスデイトナと同じ「エルプリ」といわれる機械を積んでいる。
そういわれると、なんだかよくわからないけど凄そうだと思いませんでしょうか。
しかもこのデザイン、近代的でボリューム感もあり、他の時計と比べると「見たことのないデザイン」です。
ですから、ルイヴィトンの時計が高値で取引されていたというのはマーケティングの勝利。
しかし、そんな高かったルイヴィトンは、今となっては10万円以上の値下がりです。
これぞまさに流行り商品や人気商品の恐怖事例。
ただ、もしもルイヴィトンがパネライのようなマーケティングを行っていたならば、この時計もここまでの値下がりをしなかったかもしれません。
というのも上記のように出だしは完璧。よって、その出だしで得た評価をしっかりと維持するということが重要だったのです。
たとえば、パネライのようにデットストックムーブメントを起用した特別な限定モデルを作るとか、もっと機械式を充実させるとか、いろいろと手は打てたはず。
しかもルイヴィトンはLVMHグループの中核です。
せっかくゼニスを傘下に持っているのですから、もっと積極的にゼニス製ムーブメントのモデルを出せば、ルイヴィトンの時計はなかなか良い、という評価になって、最初は見向きもしなかった時計に対してマニアックな人々も徐々に巻き込むことができたはず。
そうなって初めて、クオーツムーブメントでも「なんでこんなに高いの」と思われなくなるとなるはずだったのです。
そうすれば全体的にルイヴィトンの腕時計はもっと高かったのでは、と思います。