80年代ヴィンテージの今 第2段
80年代ヴィンテージとは、1980年代に作られたロレックススポーツモデルの一部。4桁世代から5桁世代に移行する際、比較的短い期間に作られた、過渡期のモデルといった存在であります。
GMTマスターがデビューしたのは、1955年でありますが、1984年にはGMTマスター2が登場。
そのGMTマスター2の初代モデルが、この16760であります。
16760は、いつしか「ファットレディ」という愛称で呼ばれるようになったものの、かつては「5桁世代との差が最も分かりづらい」といっても過言でない存在だったといえます。
特に5桁世代が現行だった頃は、その印象が強く、あえて16760を選択する理由を見出しづらい状況だったかのように思えました。
16760がデビューした頃、GMTマスターは16750が現行モデルだったわけですが、16750は今では「4桁ヴィンテージの雰囲気」が感じられるほどクラシカルな見た目。それに対して、1984年時点で、“新機能を搭載した真新しい『GMTマスター2』”については、後の5桁と同じ見た目が採用され、まさに当時としては最新のモデルだったということになるわけです。
1980年代当時であれば、この16760は、「真新しいモデル」というオーラを放っていたといえるわけですが、1990年代、2000年代になると“5桁との差が見出しづらい”という評価になってしまったといえます。
2016年時点において16760は約69万円といったところだったわけですが、それは当時の5桁世代GMTマスター2と似たような価格でした。
しかし、2017年において16760は急激に評価。その際、約111万円にまで到達し、「1年で42万円程の上昇」という値動きになっていたのです。
16760が2017年にそのような値動きになったのは、当時「GMTマスターシリーズ」への注目度がものすごく高いということが関係していたように思います。この16760に限らず、GMTマスターシリーズは2017年に全体的に高くなっていたわけですが、「16710の最終モデル」だったり、この16760のように「初代GMTマスター2」といった目立つ存在は特に評価されたわけです。
そして、16760は2018年に140万円台に達したわけですが、その後は、相場が分かりづらい傾向となってしまった経緯があります。
2019年頃までにおいて16760は、ボトム価格が140万円台だと思ったら、100万円を切る個体が出てくるなど、「かなり分かりづらい」様子がありました。
そして、その後もおおよそ140万円前後といった範疇に収まる状態が続いており、少なくとも2021年までそういった様子が続いていたといえます。
そんな16760でありますが、2023年2月現在の様子はどうなっているかというと、なんと200万円超え(ABランク以上のボトム価格)という状態。
2018年から「長らく140万円前後」といった状態だった16760ですが、久々にその価格帯から脱した様子を見せているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年9月 の安値 |
2023年2月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
GMTマスター2 16760 |
中古 | 3年 5ヶ月 |
¥1,348,000 | ¥2,131,650 | 783,650 | 158.13% |
2018年以降、16760の相場は分かりづらい様子となっており、きちんと相場を見てみても、結局は140万円前後から大きく変わっていないといえた状態が続いていたといえます。
そういったことがあったため、16760はしばらく動かいない、と油断していたら、なんと現在200万円超えという状態になっていたわけです。
ここ最近といえば、デイトナ以外の大人気モデルポジションが「GMTマスター2からサブマリーナになった」という様子もあり、16760にはあまり追い風といった要素もありません。
そうであるにも関わらず、16760が伸びているのは、やはり「ファットレディ」という愛称があるという点及び、それが示す「ケース形状の独特さ」が以前よりも知られるようになったこと(正面以外の画像を時計ファンがチェックするようになった)。また、デビューから年数が経ったことによって、以前よりも「クラシカル」に見えるようになったということや、「初代」という歴史的価値がポイントなのではないかと思います。
2016年頃において、16710との相場差が5万円未満といった16760。それが現在では、16710は143万円であるのに対し、16760は約213万円。実に両者の相場差は73万円程度に達しているのです。