初のカジュアルラジオミールとして2004年にデビューしたのがこのブラックシール。ブラックシールというサブネームが付くように、当時高級ラインナップだったラジオミールに対してカジュアルであるということを示しています。
で、このモデルがあたったからこそ、翌年からラジオミールベースが販売され、ラジオミールといシリーズの位置づけが高級からルミノールシリーズと同じような位置づけへと変化しました。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年5月 の安値(ヤフオク) |
2016年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ラジオミール ブラックシール PAM00183 |
中古 | 4年 4ヶ月 |
¥315,000 | ¥365,040 | 50,040 | 115.89% |
このブラックシールが出る以前のラジオミールは、確かに魅力的なモデルでしたが金無垢モデルが基本となるため、安くても60万円台以上(中古で)はするという存在であり、当時の相場からすると簡単に手が出せるというイメージではなかったのです。
ステンレスケースのモデルもありましたが、そっちはデットストックのレアムーブメントを使ったお高い限定バージョン。
つまり、3-40万円で気軽に買えるラジオミールは存在しなかったのです。
そんな中、40万円以下でも買えるラジオミールとして登場したのがこのブラックシール。
筆者自身、「ラジオミールがこの価格だったら買っても良いかも」と思った記憶があります。
しかし、その考えは良くありません。
なぜなら、60万出して金無垢のラジオミールを買っておけば、今頃130万円ぐらいになっていたから。
一方、ブラックシールを『安い』と思って買ったとしても、売ることを考えるとマイナスだったかもしれません。
つまり、買う時の値段を見れば、ブラックシールのほうがお買い得。
しかし、売った後に「買った値段-売却額」を考えると、真にお得なのは金無垢のほうだとわかります。
とはいえ、このブラックシール、なかなか魅力的な時計。
人気があるせいか、2004年に出てからごく最近まで生産されていました。
それまでラジオミールといえば、ゼニスのエリートやフレデリックピゲベースの高級自動巻ムーブメントでしたが、ブラックシールはルミノールと同じ手巻きのユニタスベースのムーブメント。
このカジュアルさが良かったのです。
しかし、それはあくまで周りのラインナップが高級志向だったという前提がある状態でのこと。
ブラックシールが登場してから1年たった頃ぐらいから、ラジオミール自体がカジュアルになってしまったため、このブラックシールの位置づけもぼやけた存在となってしまいました。
ただ、最初のイメージとブラックシールというサブネームはラジオミール自体がカジュアルとなってしまった後でも、この時計の人気を支える要素の1つとして生きているのだと思います。