16520といったエルプリ世代のデイトナには、年式による仕様違いが多々あり、そういった要素によって相場が異なるという傾向があります。
かつて、その際たる例だったのは「P番」だったわけですが、これは何かというとエルプリ世代の最終モデル。
デイトナは2000年8月に一斉モデルチェンジをしたため、「P番」の16520等は生産期間が短く、レアとされたわけです。
1990年代のロレックスは、発光塗料を「トリチウム⇒ルミノバ」と変えたり、ブレスレットの留め金を「シングル⇒ダブル」にしたりと、分かりやすいマイナーチェンジを実施。その結果、当時は“新しい要素”のほうが良いという価値観となっていました。
また、デイトナについては1992年頃からブレスレットの中央部分が鏡面仕上げに変更。2000年代といった時期において、当時の16520最安値を見ていると、“中央部分が鏡面ではない”個体がそこに位置していたといえます。
しかしながら、今となってはそういった価値観は逆転。“古ければ古い”ほど良いという価値観になっているわけです。
そして、デイトナの“ど初期”モデルともいえるR番に至っては、なんと現在1200万円台という水準。
R番は、いわゆる「段落ち文字盤(Cosmograph表記が1行開いている)」であるわけですが、2017年12月時点では238万円という評価でした。
当時の16523最安値は115万円といたところだったため、その時点での「段落ち」に対するプレミアムは“通常個体の2倍”といったところだったといえます。
ですから、この5年半の間において「段落ち」に対するプレミアムは大幅に変化したといえます。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年12月 の安値 |
2023年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
デイトナ 200タキ 段落ち 16523 |
中古 | 5年 7ヶ月 |
¥2,380,000 | ¥12,500,000 | 10,120,000 | 525.21% |
16523には、シャンパン、黒、グレー、白(前期・後期)といった文字盤がありますが、あえて文字盤色を問わずに、「段落ち」対「最安値」の価格差を考慮すると、
ということになります。
なお、「段落ち」「200タキメーター」といったレア要素を持つ世代(R番)には、黒文字盤が特に少ないとされているため、おそらくですが、これら世代では黒文字盤が最も高い評価になっていると思います。
いずれにしても、エルプリ世代の「レア要素」は、この5年の間で大きく変わり、特に「段落ち、200タキメーター」といった要素を持つ古い個体は、ものすごく評価されるようになったといえます。