腕時計投資新聞

腕時計の[買う・使う・売る]すべてを楽しむ専門サイト「腕時計投資ドットコム」
現在相場考察

1年しか製造されていない初期モデルは安め、パテックフィリップ『アクアノート』5060A

2016年9月26日更新
パテックフィリップのアクアノートについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2009年1月の安値(ヤフオク)と2016年9月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この7年8ヶ月での変動は57万7000円の値上がりだった。

アクアノート 5060Aについての考察(2016年9月)

5060Aといえばまさしく1997年デビューしたアクアノートの元祖。アクアノートといえば、ミディアムサイズとラージサイズが存在するイメージですが、当初はミディアムサイズしかありませんし、裏スケ仕様でもなければ、ブレスレット仕様もありません。アクアノートのイメージとしておなじみの『裏スケ+ブレスレット』仕様が出たのは翌年1998年のこと。その際、このモデルはは5066へとバトンタッチされたため、元祖モデルの5060は約1年しか製造されていない超短命モデルなのです。

(現在参考の腕時計がありません)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2009年1月
の安値(ヤフオク)
2016年9月
の安値(楽天)
変動額 残価率
パテックフィリップ
アクアノート
5060A
中古 7年
8ヶ月
¥698,000 ¥1,275,000 577,000 182.66%

元祖+短命という内容はロレックスであれば、値段が高くなる要素そのもの。

例えば短命のエクスプローラ2、16550はかなりの高値。シングルロック+5桁リファレンス時代の16570と似たようなデザインという内容は、アンティークというよりちょっと古めの近代的なモデルといった印象で、本来どちらかというと不人気となりそうな時計なはずなのですが高値なのです。つまり、ロレックスの場合は希少性そのものが1つの価値と認識されるということ。

それに対して、アクアノートの元祖かつ1年しか製造されていない5060は、アクアノートの自動巻モデルの中で最安という水準です。

2000年代前半であれば、アクアノート自体が人気のあるモデルではなかったため、5060がアクアノートの中で安めというのも納得できます。

しかし、現在ではアクアノートはノーチラスと並んで世界的に人気かつ憧れられる対象の腕時計

そしてその元祖となれば、5066よりも高く評価されて良いだろうに安値なのです。

最近のアクアノートの相場は、5065/1Aの200万円近いという相場の印象から、どれもそれぐらいするという感覚ですが、この5060Aなら120万円台で購入可能。

アクアノートの相場変遷は、

  • 2000年代前半=100万円以下
  • 2000年代後半=100万円台後半
  • 2010年代前半=100万円台前半
  • 近年=100万円台後半
  • という感覚なのですが、5060Aの相場を見ると上記とはだいぶずれていることがわかります。

    前ページの相場の通り、過去から現在にかけてかなりの値上がりをしたとはいえ、2009年の60万円台という安値はかなりのびっくり価格。

    アクアノートが60万円台というのは2000年代前半で終わったことかと思いきや、そのチャンスの“2度目”が存在していたのです。

    よって、60万円台でアクアノートが買えるなら買っておけば良かったと、当時の相場を見過ごしていたことを後悔するのと同時に、まだまだ安いとも感じるのです。

    つまり、約60万円近い値上がり額は確かにすごい額ですが、アクアノートという時計の知名度とイメージ、そして元祖+短命という内容はロレックスであれば当然値上がりする要素なはず。

    よって、パテックフィリップにもロレックスと同様の文化が持ち込まれることは容易に想像でき、この5060Aが将来的に「希少なモデル」として多くの人が価値を感じる日が来るのではないかと考えています。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
    本コンテンツには、主観的評価、見解、想定における情報が含まれています。運営者及びコンテンツ提供者は、コンテンツ内容の正確性、確実性、完全性における保証を行いません。また、コンテンツ内容にかかわる損害・トラブル等に関する一切の責任を負いません。本サイトに記載されている情報は、特に断り書きがない限り、更新日時点での情報に基づいています。