トリチウム仕様だと安くなるロレックスに対して高くなるのがパネライです。発光塗料として近代的な印象があるルミノバのほうが通常高値な傾向なのですが、パネライの場合は前時代的なトリチウムのほうが逆に高値。
高値の理由はトリチウムの色合いなど見た目の影響もあるのですが、一番の理由はプレヴァンドームに近いからでしょう。
プレヴァンドームというのは1997年にパネライがリシュモングループ入りする以前のモデルのこと。具体的にはパネライが一般向けに腕時計の販売を開始した1993年から1997年の間に作られたのがプレヴァンドーム。そのプレヴァンドームが「オリジナルなパネライ」という印象からか、2002年のパネライブーム頃より高値の傾向なのです。
で、そのプレヴァンドームに近い1998年製(A番)と1999年製(B番)のみがトリチウム仕様。よって、同じPAM00001といってもB番とC番以降では相場が異なるのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年3月 の安値(ヤフオク) |
2016年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ トリチウム文字盤 PAM00001 |
中古 | 4年 6ヶ月 |
¥525,000 | ¥698,000 | 173,000 | 132.95% |
1999年といえば、ロレックスブームの最中でエクスプローラ(14270)がプレミア価格で販売されていました。それに対して、このPAM00001は新品が20万円前半ぐらいという印象。
よってその時、エクスプローラではなくてトリチウム仕様のPAM00001を買っていたならば、だいぶ利益が出たことでしょう。まさしくこれが投資的思考。エクスプローラは良い時計ですが、多くの人から注目されているときに買ってはいけないのです。
逆に、「なんでそんなの買ったの?」と言われてしまうぐらいの時期に、ブームを先取りして買ってこそ大きな利益を得ることができるのです。
もちろん、腕時計投資の投資方法として先見の明だけが重要なわけではありませんが、「次に流行る時計を予測して買う」という投資手法においては流行りものは禁物です。
そして、このトリチウム仕様のPAM00001を30万円以下の価格で買うことができなかったとしても、実は値上がりのチャンスはまだまだあったのです。
それが、前ページのように2012年に買った場合。
2012年の前半といえば、パネライ相場は全体的にかなり安い水準で、PAM00001の通常モデルの場合28万円前後がその相場といったとこ。よって、トリチウム仕様というだけで50万円以上もするこの時計はなんだか勿体なくて買う気にはなれなかったかもしれません。
しかし、当時50万円台で買っておけば、今頃15万円以上の値上がりを体験できたのです。
つまり、腕時計投資において重要なのはその時時の常識を疑うということ。
このPAM00001トリチウム仕様の値動きはそういったことを教えてくれます。