パネライの手巻きモデルは、黒文字盤と白文字盤のSSを基本として、それにPVDといったイレギュラーモデルを投入する傾向があります。
けれども、PVDモデルは2000年からチタンに変更。それゆえ、2002年頃、パネライが大ブームとなった際は、PVDの中古相場が非常に高かったといえます。
その一方で2002年頃、チタンといったイレギュラーモデルへの評価は低く、“SS黒文字盤のルミノールベース”が入手困難な一方で、チタンのルミノールマリーナ(PAM00061)は定価以下で容易に入手可能だったわけです。
実際、筆者は2002年当時、本当は“SS黒文字盤(2番や112番)”を欲しいと思いながら、61番を約37万円で購入したわけで、経験からもチタン人気は低かったと知っています。
しかし、2010年代になると、それらチタンモデルの中古相場が上昇。筆者がかつて“安い”という理由で買った61番は、2015年頃になると2番や112番よりも高値となっていたわけです。
61番といったチタンモデルへの評価が高まったのは、おそらく「焦げ茶文字盤」だからでしょう。チタンモデルは“非・裏スケ世代”では焦げ茶文字盤が採用されていたものの、その後の“裏スケ世代”ではSSと同様の黒文字盤に変更。そうなると、焦げ茶文字盤への評価が高まったのだと思います。
これは、2002年当時人気がなかった69番(青文字盤)が後に50番よりも高くなったのと同じことだといえます。
そんな焦げ茶文字盤世代のチタンモデルでありますが、中でも最も高値といえるのが、そのレフティモデル。
パネライは、2針のベース、3針のマリーナ、イレギュラーモデルとしてレフティを用意する傾向がありますが、レフティは高い傾向があります。
そして、2001年まで製造されていた“非・裏スケ世代”のチタンレフティである、このPAM00056は、2017年1月時点でも約60万円という価格帯。当時、61番が約49万円でも“高い”という感覚だったことからすると、レフティは“特に高い”といえたわけです。
さて、そんなレフティチタンの56番でありますが、現在水準はどうなっているかというと、その答えは約72万円。
2017年に60万円台だったのが、今では70万円台となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年1月 の安値 |
2023年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00056 |
中古 | 6年 7ヶ月 |
¥609,900 | ¥720,485 | 110,585 | 118.13% |
2017年以降、この56番といった世代のパネライが「値動きしない」、もしくは「値下がり」という傾向があったといえます。
そういったことは、近頃まで続いていたといえるのですが、2023年になってから、上昇する事例が増え、先日の記事でもお伝えしたように、3番などは50万円台といった水準になっています(3番は長らく30万円台だった)。
そして、この56番もまた現在水準が約72万円というように、きちんと上昇しているわけで、2000年代前半頃までのパネライがこのところ全体的に高くなっている、ということを改めて感じる次第です。