タグホイヤーは、1996年に「カレラ」を、1998年には「モナコ」を復活させました。
カレラはクラシカルな手巻きクロノグラフで、モナコは角型のアバンギャルドな自動巻クロノグラフ。モナコは1969年、ゼニスのエルプリメロと同時期に登場した世界初の自動巻クロノグラフムーブメント「キャリバー11」を搭載した経緯があるため、カレラ=手巻き、モナコ=自動巻という棲み分けがなされているわけです。
さて、そんなモナコでありますが、復刻当初、カレラがオリジナルに忠実だったのに対し、モナコはその当時の「解釈」が注入。オリジナルに忠実というわけではなかったといえます(とはいえ98年復刻版は魅力的)。
オリジナルのモナコといえば「青文字盤」が特徴的だといえますが、当初復刻されたモナコには「黒文字盤」が採用。また、キャリバー11を搭載していないため、竜頭も“右側”でした。
そしてその後、タグホイヤーはLVMHグループ入りするわけですが、その頃から「カレラ」と「モナコ」のポジションは、ラインナップのメインという位置づけに変化。LVMH前のように“特殊な限定モデル”というわけではなくなりました。
LVMH後は、モナコはカレラよりも“マニア向け”、“上級モデル”といった印象が強くなります。
その結果、モナコにも「青文字盤」が用意され、かつてのデザインを復刻したようなモデルが出てきたわけですが、当初それには「キャリバー11」は搭載されていませんでした。
また、LVMH前、つまり復刻版時代のカレラとモナコには「ホイヤーロゴ」が採用されていた一方、LVMH後は「タグホイヤーロゴ」に統一。その結果、クラシカルな雰囲気はやや失われたといえます。
しかし、2010年代になると再びカレラとモナコの一部モデルに「ホイヤーロゴ」が復活。
そして、このモナコCAW211P.FC6356のような、オリジナルモデルを忠実に再現した“復刻版”も再び登場するようになったわけです。
このCAW211P.FC6356には、「ホイヤーロゴ」と「キャリバー11」が採用されており、まさにその雰囲気は1969年モデル。
カレラの復刻版については1996年版がオリジナルに最も近いといえますが、モナコに関してはこのCAW211P.FC6356が最もオリジナルに忠実だといえます。
そんなCAW211P.FC6356でありますが、2020年頃まで、中古相場は長らく30万円台後半といった状態が続いており、あまり値動きするといった様子を見せていませんでした。
それが2021年頃、40万円台になったのを皮切りに、その後は値動きするように変化。今年3月には約55万円となっていました。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2023年3月 の安値 |
2023年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
タグホイヤー
モナコ CAW211P.FC6356 |
中古 | 0年 6ヶ月 |
¥556,097 | ¥658,000 | 101,903 | 118.32% |
そして今、CAW211P.FC6356はなんと約65万円という水準にまで到達。
今回、CAW211P.FC6356は『半年で10万円以上の値動き』となったわけですが、これまでこのモデルがこのような値動きをすることはなかったといえます。
そういった意味で今回の値動きは、CAW211P.FC6356としては史上最もすごい動きともいえるわけで、60万円台になったということを含め、なにかとインパクトが強い値動きをしたと思います。