新品で買っても値上がりという事例でもっとも分かりやすいのがこのノーチラスパワーリザーブです。これ、2002年ぐらいまで新品実売価格が80万円台後半から90万円台前半ぐらいでした。しかも探し回ってその値段というわけではなく、主要な時計店であればどこでもだいたいそれぐらいの値段。よって、2001年頃「ノーチラスを買う」という選択だけできれば、約200万円という脅威の値上がり体験を出来たのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2001年夏頃の新品実勢価格 | 2016年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
ノーチラス パワーリザーブ 3710/1A |
新品 | 15 | ¥932,400 | ¥2,863,400 | 1,931,000 | 307.10% |
当時この価格帯で、最も売れていたのはデイトナでしょう。
そもそもその頃、100万円近い額でステンレスの時計を買うという行為自体が“なんとなく勿体無い”買い方とされていたりしました。
よって、多くの人はステンレスモデルならデイトナ、もしくは金無垢を買うというのが一般的。
ましてノーチラスはパテックフィリップを持っている人が2本目に買う時計だから、1本だけノーチラスを持つのは邪道だと言う人すらいる始末。
その当時、ちょうどアップルのthink differentというキャンペーンがそこそこ知られていた時期で「違う」とか「常識を変える」ということが世間では注目されていた時期だったりします。
そして、パテックフィリップでノーチラスだけ買うなんて邪道と言っていた人も、一方では「常識を変える」ということに興味があった模様。しかし、その方、本質を理解できていなかったようです。なぜなら、今となっては初めてのパテックフィリップとしてノーチラスを買うという行為は一般的。しかもノーチラスはパテックフィリップの代表的モデルともなりました。
腕時計を買ったら、誰かに自慢したいとか、自慢できなくても同じ時計好きに見てもらいたい(褒められたい)という欲求はあるかもしれません。しかし、そのように他人を前提に時計を買っていたのなら、2001年当時にノーチラスを買うという選択肢は実行できなかったでしょう。
時計選びにおいて重要なのは自分。他人から批判されようが、自分が良いと思ったから買う。そういう行為態度が重要です。
そして、その判断基準の1つに「投資」という楽しみをいれたら、このノーチラスのようにとんでもない値上がりを楽しめるということになるのです。
投資とは先を予測することであったりします。しかし今の常識にとらわれている人にとって、未来のことを予測することも受け入れることも出来ないでしょう。
ということで、他人からなんと言われようが、どう思われようが、正しいと思ったらそれを選ぶということ。これがとても重要だと思います。そしてそれは、時計選び以外のことにも言えるでしょう。そうやって正しいと思う選択をしていれば、このノーチラスのようにそのうち結果となって返ってくることだと思います。