かつては、「新しい方が高い」という価値観があった16520ですが、今では「古いほうが高い」というように、真逆の評価となっています。
こういった価値観の変化は、どのタイミングで起こったかというのが気になるところでありますが、筆者の印象としては2020年が変わり目だったと思います。
というのも、2019年まで16520全体を「高い順」で並べると、そこに並んでいたのがP番(最も新しい年式)だったからで、少なくともその時点では「最も高い16520はP番」だったわけです。
しかし、そんなP番には2021年1月時点で“陰り”が見えていた形跡があります。
2021年1月10日の記事を見ると、「2年前と変わらない」と書いてあるわけですが、2021年1月といった時期において「2019年1月頃水準と同じ」という例は珍しかったといえます。
ですから、2020年前後という時期に16520の価値観に変化が起こったと思うわけです。
さて、今では16520は「R番やL番といった初期個体が最も高値」となっているわけですが、そういった年式に見られるレア要素の筆頭格が「200タキメーター、通称200タキ」であります。
これは、16520のベゼル部分の目盛りが「200までしかない」ということを示しているのですが、大半の16520は400まで目盛りが存在するため200はレアなのです。
そんな「200タキ」のデイトナでありますが、今年7月時点では16520の中古個体がゼロという状態で、コンビの16523のみが“売られている”という状況でした。
その際の「200タキ」個体はどういった水準だったかというと1200万円台という価格帯。通常、中古市場ではコンビよりもSSのほうが高値であるため、当時の印象としては「仮にSSの200タキがあったら1200万円台よりも高いのだろう」と思ったわけです。
そして今、「200タキ」の16520が複数本“売られている”様子。
では、どういった価格帯なのかというと、その答えは約787万円。今年7月時点で推測した相場よりも遥かに安かったのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年5月 の安値 |
2023年12月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
デイトナ L番 200タキ 白文字盤 16520 |
中古 | 9年 7ヶ月 |
¥1,498,000 | ¥7,880,000 | 6,382,000 | 526.03% |
なお、現在の個体は「L番、白文字盤、4行」という内容でありますが、2014年時点の個体は「5行」と、若干条件が異なります。
とはいえ、筆者としては「200タキの白文字盤」ということが重要かつ、2014年時点で、4行個体と5行個体の相場がそれほど大きく変わらなかったといえるため、今回は完全に条件が一致しないものの比較対象としました。
いずれにせよ、2014年頃において、16520全体のボトム価格は110万円程度だったといえるため、その時点での「200タキ」個体への評価は若干のプラスでしかなかったといえます。
しかし、今となっては、「200タキ」個体は通常個体に対して倍以上という相場になっているわけで、かなり高い評価をされているわけです。
とはいえ、今年に限った話をすると7月時点で16520の200タキは1000万円以上という相場が見込まれたわけですが、現在ではいずれの「200タキ」個体も1000万円以下。
特に、初期モノの黒文字盤は希少とされているのですが、最初期のR番、なおかつ黒文字盤という、現在の価値観で“最強”といえる16520でも、現在約997万円。1000万円を切っているのが興味深いといえます。