ロレックスブームが起こってから数年後の2003年に最も注目されたロジェデュブイ。
当時はすでにフランクミュラーがブームとなっており、独立時計師という存在に多くの人が気づいた頃。また、以前から雲上時計として認知されていたパテックフィリップも、そろそろ「手を出してみるか」という人が増えつつあったその時代。
よって、どことなくフランクミュラー的な見た目と、マニュファクチュールかつジュネーブシールというパテックフィリップ的な中身を兼ね備えたロジェデュブイは“次に注目すべき腕時計”として良いポジションだったのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年2月 の安値(ヤフオク) |
2016年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロジェデュブイ
トゥーマッチ ボーイズサイズ T26.18.5 |
中古 | 7年 8ヶ月 |
¥501,375 | ¥580,000 | 78,625 | 115.68% |
さらにロジェデュブイ、1つのモデルあたり28本の限定生産という、パネライ的要素をさらにすごくしたブランディングまで展開。
つまり、
のいいとこ取りと、当時としてはかなり“抜け目のない”戦略だったことがよくわかります。
そして見た目も単にフランクミュラー的であるというだけでなく、一見してロジェであるということが分かるオリジナリティもあるのです。
特にこのトゥーマッチは横長ケースに片側2本の革ベルトと、ほかの腕時計では見たことのないレイアウト。
実際実物を触ってみても作りが良く、多くの時計ファンが「次に買う腕時計」の候補として考えたことでしょう。
このトゥーマッチのボーイズサイズの当時の定価は約150万円、新品実売価格は約80万円といったとこ。
ジュネーブシール取得かつ、定価が高い割には新品実売価格は意外に安かったのです。とはいえ、それは2003年ごろの話。当時の相場を考えると、カラトラバより若干安いぐらいだったので妥当な値段だといえるでしょう。
しかし問題はその後の話。
パテックフィリップはその頃より全体的にどんどんと値上がりを開始。フランクミュラーも2010年ごろまでは今よりだいぶ高値をキープしていました。一方ロジェデュブイは値上がるどころかゆっくりと値下がり状態だったのです。
2003年頃に中古60万円台後半といった感じのボーイズトゥーマッチは2009年には約50万円まで下落。
そこから今年にかけて60万円台までまた復活傾向ではありますが、それでも2003年よりも安いのです。
おそらく安値になった原因は、パテックフィリップとフランクミュラーと似ていたということそのものにあるでしょう。マニュファクチュールのジュネーブシールがほしければ、少し足してパテックを買うでしょうし、知名度はフランクミュラーのほうが抜群に上。よって、ロジェデュブイという存在はツボからずれた存在故に人気が出なかったのだと思われます。
ということで、注目された2003年頃に買ったらかなり残念な腕時計であるロジェデュブイ。
しかし、今の相場において、
- ジュネーブシール
- マニュファクチュール
という内容の腕時計を50万円台で購入できるのはかなり魅力的だと思います。
特に、2000年代前半のモデルは非常に高い意識で作られたモノが多く、相場も全体的に安いため良いでしょう。2006年にリシュモングループ入りしたロジェデュブイですが、リシュモン以前のモデルはパネライのように「プレヴァンドーム」としてありがたがられる存在になってほしいものです。