コーアクシャルといえば、現在オメガでもっとも強く主張している機構ですがそれが最初に搭載されたのは1999年に登場したこの限定発売のデビルにおいてです。
当時のオメガというと定価も実売価格も10万円台から20万台という高級腕時計の中では最も安価に位置するラインナップでした。
当然中身もETAの機械を使っているのですが、他のメーカーのように「ETAポン」と揶揄されることもなく、真面目に作った腕時計を適正価格で販売するブランドとして時計ファンからも一定の支持を得ていたと思います。
そのように、ムーブメントに関しては誰もがさほど気に留めていなかったオメガですが、このコーアクシャルデビューと同じ頃よりムーブメント力を入れるようになった模様です。
センタートゥールビヨンを発表したのもこの時期と近い頃。
コーアクシャル脱進機がそうであるように、トゥールビヨンもすでにその技術を提唱した発明者と一緒に開発するという形を取っていました。
そしてこのコーアクシャル脱進機は、2001年にシーマスターシリーズの中に「アクアテラ」を新設したときに、シーマスターのような普及モデルにも搭載し、オメガの顔という存在となっていったのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2004年秋頃の安値(タイムトンネル) | 2016年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
デビル リミテッドエディション WG 白文字盤 5941.31.31 |
中古 | 12 | ¥388,000 | ¥513,000 | 125,000 | 132.22% |
1999年当時のこの限定デビルの扱いは、一言で言うと「異色なオメガ」といったところでしょう。
当時のオメガは先程のように10万円台から20万円台が主力なブランド。
そんなブランドにおいて、金無垢ケース+革ベルトかつムーブメントの機構を売りとした時計が限定999本で登場したのです。
しかし、異色な割には『高級なオメガが欲しい』というニーズはそこそこあったようでそれなりに注目されたモデルだったと思います。
またこの頃より、フレデリックピゲ製ムーブメントを搭載したブロードアローや、WGベゼルにムーンフェイズを搭載したスピードマスターを主力ラインナップとして加えるなど、オメガは高級化していった傾向があるように思えます。
近年、オメガに対して“高い”という印象は拭えませんが、それはあくまで一般モデルに対してのこと。
それに対してこの限定999本のデビルのように、ある種尖ったモデルだと高くても納得する人が多いのだと思います。
ということでこのデビル、かつてより10万円以上の値上がり状態とオメガの腕時計としてはかなり高めの値上がりとなっています。