コレクションプリヴェカルティエパリという最高級シリーズを積極的にカルティエが売り出したのは2000年頃。
それまでカルティエの最高級モデルといえばタンクアメリカンで、金かプラチナのラインナップしか存在しないという方向性は同じなのですが、よりムーブメントのブランディングにこだわったのがこのコレクションプリヴェカルティエパリというシリーズの傾向です。
カルティエの個性を活かした三雲ブランド的な存在というのがこのシリーズの印象ですが、中でもこのタンクアビスの2タイムゾーンはプチコンプリケーション的に注目されていたモデルだと思います。
2つの時刻を表示させるという演出にはいろいろなものがありますが、上下に文字盤が2つついたようなこのデザインはカルティエがよく採用するモノ。
安価な腕時計でもこのデザインをよく見かけるのですが、決定的な差が一つあるのです。それは、竜頭が1つか2つかということ。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年2月 の安値(ヤフオク) |
2016年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
タンク アビス W1534351 |
中古 | 6年 8ヶ月 |
¥781,000 | ¥845,000 | 64,000 | 108.19% |
安い腕時計であれば、一つの竜頭すなわち一つのムーブメントで2つの時刻を表示させるという複雑機構を採用することは出来ません。そのため、2つのムーブメントをケースの中に仕込むというなんともアナログな方法がとられ、その結果竜頭が2つ存在するのです。
それに対してこのタンクアビスの2タイムゾーンは高級モデルにふさわしく複雑なムーブメントが搭載されています。
とはいえ、実はカルティエの他の2タイムゾーンには安価な腕時計と同じく2つのムーブメントを採用するモデルが存在。しかもそれ、手巻きムーブメントであるがゆえに使うときには2つのネジを巻かなければならないというなかなか面倒なもの。さらにそのモデル、このタンクアビス以降にも存在するためなぜそのメカニズムにすることにしたのかは謎です。
で、このプチコン的なタンクアビス、約250万円というまさしくパテックフィリップのプチコンプリケーションに引けを取らない定価でありながら、なんと現在の相場は80万円台とかなり安値な状況。(御存知の通り80万円台で買えるパテックフィリップは殆どありません)
しかもこれ、腕時計が全体的に安かった2010年と比べても6万円しか高くなっていないのです。
よって今、プチコンプリケーション的な腕時計に興味がある方は、このタンクアビスを候補の1つとして考えてみても良いと思います。