2000年代前半のカラトラバシリーズの中でオーソドックスな存在だった5107。
カラトラバの中では、手巻きより自動巻が高級というヒエラルキーがあり、定価も希少性も自動巻ムーブメント搭載モデルのほうが高めです。
ただ、5107より5000の定価のほうが高かったため、5107はカラトラバの中では中くらいに位置するモデル。
裏スケというのは5000と共通の“豪華仕様”ですが、革ベルトの留め金に、より豪華なDバックルを搭載する5000に対して通常の尾錠という5107。
当時の定価も人気度も5000より低めな5107なのですが、なぜか最近は5000よりだいぶ高値な傾向になっているのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年6月 の安値(楽天) |
2016年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
カラトラバ 5107J |
中古 | 0年 5ヶ月 |
¥2,116,000 | ¥1,879,500 | -236,500 | 88.82% |
前回5107のことをお伝えした際より、20万円以上値下がりしたとはいえ、それでも依然として値上がり傾向であることに変わりはありません。
パテックフィリップの自動巻キャリバー315を搭載し、3針+デイト表示というオーソドックスな内容の5107は、その時代のアクアノート5065と全く同じ構成の時計です。
5065が現行だった2000年代前半は、アクアノートというシリーズ全体の人気がなかったということに加え、アクアノートはカラトラバより下位に位置するモデルという印象が強かったため、どのカラトラバよりも安値な状況でした。
しかしその後は、ノーチラスとともにどのカラトラバよりも高くなったというのは今では当たり前。
それがこの5107に関しては、例外なのです。
ずっとアクアノートより安いと思われていたカラトラバの中で、アクアノートとほぼ同額に位置する5107。
5107とほぼ同額なのは、5107と同じ時期に作られたアクアノートの中で最も人気の高い5065/1A。一回り小さい5066と比較した場合、こっちのほうが高いのです。
なおこの5107、現行当時は“リューズガード風”なデザインが評判良くありませんでした。
カラトラバはドレッシーなモデルなのに、リューズガードという『スポーツモデル』な要素は合わないと思われたのです。
また、37mmという当時としてはかなり大きいケースサイズも不人気な理由の1つ。
5107以前で、同じくキャリバー315を搭載するモデルでも33mmというサイズに収まっており、一気に37mmとなった5107は大きすぎるとも言われたのです。
実際、当時はアクアノートですら38mmの5065より33mmの5066のほうがバランスが良いと言われていた時代。
かつて評判が良くなかった時計が今となっては高値という現象は、アクアノートにもカラトラバにも当てはまるのです。