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現在相場考察

パテックフィリップ カラトラバ 5117R、オーソドックスな選択をすれば約100万円の値上がりという現象だった

2016年11月11日更新
パテックフィリップのカラトラバについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2004年春頃の安値(タイムトンネル)と2016年11月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。このでの変動は¥976,640だった。

カラトラバ 5117Rについての考察(2016年11月)

2000年代前半のカラトラバにおいてミドルクラスに位置するこの5117。

5117は、ほぼ同じ構成の5107のベゼルが「クルドパリ」としたバージョン。

このモデルより以前から、カラトラバには通常のスムースベゼルバージョンとクルドパリバージョンを用意するというのが一般的。

ただ、クルドパリバージョンが用意されているのは、その時代におけるカラトラバメインモデルという印象のため、2000年代前半のパテックフィリップにおいて5107や5117が最もオーソドックスなモデルという認識ができます。

そして、当時の新品実売価格も約100万円オメガ=10万円、ロレックス=30万円、パテックフィリップ=100万円というように、いかにもパテックフィリップらしい金額だったのがこの5117Rです。

パテックフィリップ カラトラバ¥633,600〜¥16,607,000(2024年11月21日現在)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2004年春頃の安値(タイムトンネル) 2016年11月
の安値(楽天)
変動額 残価率
パテックフィリップ
カラトラバ
5117R
新品 12 ¥1,030,000 ¥2,006,640 976,640 194.82%

その2000年代前半に普通の選択肢として新品のカラトラバを買ったならば、今頃相場は“倍”という現象。

普通に買って10年後に自分の時計が倍の価格で売られているなんて、なんてすごいことなのでしょう。

ちなみにこの時計、先のように「オーソドックス」な選択肢であったため、当時これを買ってこんなにも高くなると思った人はいないでしょう。

まして、クルドパリはどちらかと言うと不人気要素なため、とても値上がりする時計のようには見えないのです。

クルドパリというのはギザギザな感じのベゼルの模様を指すことですが、この手の込んだ装飾は2000年代当時としては避けられがちでした。

しかしそれが今となっては5107よりも高めという値段に。

当時の不人気要素は今となっては人気要素、という例の象徴的な現象です。

2000年代前半より、多くの人が高級腕時計に親しみを持った現在こそ、このクルドパリがよく見えてくるのかもしれません。

ロレックスでいうと、5連ジュビリー仕様のGMTマスターがよく見えてくる現象のように、特徴的なデザインかつちょっと渋めの時計は良しとされる傾向にある模様です。

この5117の例のように、その時代で言われている“正解”は、次の時代の“正解”とは限らないということ。

どの時代においても“常識”とか“正解”とされるような事柄があり、それを人は信じてしまう傾向があります。

しかしながら、そんな“正解”とされるものは実は非常に疑わしいものであり、なんの指針にもならないのです。

ですから重要なことは、他の人が言う物差しを信じるのではなく、自分の物差しをを持つということです。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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