1990年代中盤頃、「復刻ブーム」といえるような現象が発生。その際、クルマや腕時計の商品で様々な復刻モデルが展開されました。
例えば、クルマではダイハツミゼット2やホンダステップワゴンなどが登場。ステップワゴンはステップバンの復刻にとどまらず、大ヒット商品となり現在でも販売されています。
一方腕時計では、タグホイヤーやオメガが復刻モデルを販売。タグホイヤーは1996年にカレラを、オメガは1997年にスピードマスターの1stモデルを復刻しました。
当時の腕時計における“復刻モデル”は、他のラインナップと遜色ない価格帯で販売されており、特にスピードマスターの1stレプリカ(3594.50)は、通常版(3570.50)とほぼ変わりない実勢価格となっていました。
さらに、3594.50については現在における中古相場が通常版(3570.50)よりも安価といった状態。手巻きスピードマスターの中で最も安価という、不名誉とすらいえてしまう評価となっているのです。
1990年代から2000年代頃まで、『通常モデルと変わらない価格帯』という位置づけだった復刻モデルですが、2010年代になると様子が変化。
特にオメガの復刻モデルは、「特別」という位置づけに変わりました。
2017年にオメガからは、スピードマスターやシーマスターの復刻モデルがいくつか登場しましたが、そのとき登場したモデルは、明らかに通常版よりも高値となっており、それでも“多くの人が欲しがる”といった現象が起こっていたといえます。
実際、2017年に登場した311.10.39.30.01.00は、当時割高感があったものの、2020年⇒現在までの変動額は、ざっと50万円ほどの値上がりとなっているわけで、特別感のある復刻モデルに対する需要の高さがある事例だといえます。
さて、今回お伝えするのは、2020年に登場した3rdモデルの復刻版、311.30.40.30.01.001でありますが、このモデルは、2017年よりもさらに「特別感」を強めたモデルであります。
復刻したのは、外側だけに限らず、なんとムーブメントまでもを復刻。それを最大の特徴として、正式名称にも「キャリバー321」と表記があります。
そしてこの311.30.40.30.01.001の定価(2024年8月現在)は、237万6000円。これは、ステンレスのオメガとしては、現在の感覚でも「かなり高い」といえるのですが、中古相場はどうなっているかというと、定価を上回る状態であります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2024年6月 の安値 |
2024年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
スピードマスター 311.30.40.30.01.001 |
中古 | 0年 2ヶ月 |
¥2,695,000 | ¥2,601,000 | -94,000 | 96.51% |
この311.30.40.30.01.001について、過去中古相場のデータがあまりなかったため、今回は今年6月水準との比較となっていますが、いずれの相場も定価を上回っていることに変わりありません。
近頃、オメガの中古相場は、以前では考えられないほど上昇しましたが、現行品、なおかつ定価が200万円といった水準のステンレスモデルが「プレミアム価格状態」となっているということは特筆すべき点だといえるかと思います。