パネライにとって「ダイヤ」という要素は、超特別といった位置づけになっており、そのどれもが「限定モデル」となっています。
ダイヤモンドがセットされたパネライは、リシュモングループ入りした初期の時代に設定されており、“文字盤がダイヤ”や“ベゼルがダイヤ”、またはその両方など、いくつかの展開がなされました。
特に分かりやすいのは、文字盤インデックスが全てダイヤとなっているモデルだといえ、44mmのルミノールだと30番などが有名だといえます。
現在、30番の売出しはないですが、130番(30番はバケットで、130番はドット)が多々出ており、そのボトム価格は207万円。130番の通常文字盤バージョンともいえる112番は、現在約44万円(ABランク以上のボトム価格)といったところであるため、ダイヤ文字盤は通常版に対して4.7倍もの価値となっているわけです。
そんなダイヤのパネライですが、今回取り上げるのは「ベゼルがダイヤ」というPAM00031であります。
これは、31番という型番の通り、リシュモン初期といえるパネライ。この手の型番といえば、A番といった「トリチウム世代」が該当するため、“高値”といった印象なります。
ちなみに、1番や2番といった初期リシュモン世代の場合、「トリチウム」と「ルミノバ」で大きく評価が異なります。
現在、1番のルミノバ個体は約48万円で売られているのですが、トリチウム個体はなんと128万円以上。それぐらい、トリチウムとルミノバで相場差があるわけです。
では、PAM00031は現在どういった水準かというと、約128万円といったところ。驚くことに、現在の相場は2018年6月よりも安価といった状態であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年6月 の安値 |
2024年12月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00031 |
中古 | 6年 6ヶ月 |
¥1,780,000 | ¥1,281,000 | -499,000 | 71.97% |
このところ、パネライは「久々に上昇」という様子を見せているケースが多いわけですが、そのような最中、この31番は2018年との比較でも「結構な値下がり」となっている状態です。
ダイヤのパネライといえば、「文字盤がダイヤ」というイメージがあるためなのか、ベゼルがダイヤというこの31番の注目度は、それと比べると低いのかもしれません。
とはいえ、3番といった同世代の手巻き44mmなどが値上がりしている中で、このスペシャルな31番が2018年水準よりも安価となるのは「お得感満載」という印象になります。
なお、この31番は1998年に40本限定でデビューしたモデルでありますが、文字盤の発光塗料はルミノバ。
同世代のPAM00001はB番、すなわち1999年モデルの途中までトリチウムとなっていたわけですから、もしも31番がトリチウムだったならば更に高値だったといえます。
また、ここで気付いたのは、現在の31番の約128万円という価格が、1番のトリチウム個体と全く同じという点。
ダイヤのパネライは、本来かなりレアなのでありますが、トリチウムの1番と「どちらにしようか」と迷える状態となっているのは、珍しいといえます。