現在発売されているGMTマスターは「GMT MASTER 2」のみ。
エクスプローラやヨットマスターなど「2」が存在するものには「1」が併売されているケースがよくあるのですが、GMTマスターに関しては1999年に生産終了しています。
GMTマスターといえば1955年にデビューしてから長らく赤青ベゼルをアイコンとする存在でした。
80年代にGMTマスター2がデビューした際は、見た目の差や定価の差があったのですが、90年代の5桁リファレンスに相当するモデルになってからは似た存在に。
「1」が5桁リファレンス仕様の16700にアップグレードされ、「2」には赤青ベゼル仕様が追加。よって、同じ素材、同じベゼル配色のモデルだと区別が非常に付きづらい存在です。
これだけ似ているモデルなのですが、「1」と「2」の違いは何かというと、時針をコントロールできるか否か。
「2」は時針を竜頭で動かす事ができるため、ベゼルを動かさなくても2カ国分の時刻を分かりやすく見ることができますし、ベゼルと併用すれば3カ国の時刻を表示することが可能です。
しかし「1」は時針を動かすことができないため、ベゼルを回転させる必要がありました。
そして、見た目がそっくりかつ不便な「1」は存在意義をなくし、1999年に生産終了となったのです。
P番の16520デイトナなどに見られるように、最後に生産された年の個体は高値になる傾向があります。
まして、GMTマスターの場合、歴史ある「GMTマスター」という最後のモデルなわけですから、その傾向になっていそうです。
しかし、実はこの「GMTマスター」の最終モデルであるA番は、他のGMTマスターとたいして値段が変わらないのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年6月 の安値(ヤフオク) |
2016年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター 黒ベゼル A番 16700 |
中古 | 7年 6ヶ月 |
¥358,000 | ¥626,400 | 268,400 | 174.97% |
GMTマスター「1」の良さは、
- オリジナルモデル
- 1955年からの歴史
- 文字盤に書かれた「GMT MASTER」という表記
とツボを刺激する要素が満載。
しかも最終モデルである16700のA番は、他の品番には無い仕様が満載で非常に希少性の高い存在です。
- ルミノバ仕様の文字盤
- 「SWISS」表記
- ダブルロック仕様
という90年代における近代的な仕様を満たす16700はA番しかありません。
しかも、「SWISS」という表記はエクスプローラ14270などその他モデルでもA番近辺にしか見られない希少な表記。
トリチウム表記「SWISS-T < 25」からルミノバ仕様になった際「SWISS」となったのですが、直後に「SWISS MADE」に変更され、そのまま今に至ります。
よって、「SWISS」表記は珍しいのです。
A番のGMTマスターの場合、その個体の多くが「SWISS」表記ですが、実は「SWISS MADE」も存在。
他のモデルであれば「SWISS」が珍しいのですが、16700にとっては「SWISS MADE」表記のほうが珍しいのです。
いずれにしても、GMTマスターの最終モデルであるA番は希少性とツボ要素が多いのにもかかわらず、他の年式のGMTマスターやGMTマスター2と相場が変わりません。
ということで、このGMTマスター、2009年と比べて26万円以上も値上がりしているのですが、もしかしたらもっとすごいことになるのではないかと注目しています。