ミルガウスといえば、最も印象深いのが1990年頃まで生産された1019です。
1019が新品で売っていた当時、ミルガウスは不人気だったため5桁リファレンスの後継モデルが発売されることなく廃止モデルとなりました。
しかしその後、90年代後半から始まったロレックスブームの際に、“アンティーク”モデルとして1019が注目され、4桁リファレンスのデイトナに近い金額で取引され始めたのです。
不人気モデルだったミルガウスは一転して、多くの人から憧れられる人気モデルとなったのです。
そういう事情もあってか2007年、ミルガウスは十数年ぶりに復活。
その際、登場したのがこの116400です。
116400はデビュー当時、「あのミルガウス」が復活というニュースとともに、ものすごく注目され高値となりました。
当時のラインナップは、
という3種類。
特に116400GVはインパクトのあるモデルとして注目され、高いときでは140万円以上のプレミア価格でも買い手がつくなど、ものすごい相場になったモデルです。
一方、この116400の黒文字盤は、グリーンガラスとの違いがハッキリとせず、ポジションが曖昧な存在。
そして、その存在意義の不明さ故に少し前に生産終了となりました。
現在のミルガウスは、グリーンクリスタルの116400GVの相場も、この通常クリスタルの116400の相場を見ても、他のスポーツロレックスと比べて不人気なことがよくわかります。
また、白文字盤のほうも最近生産終了となったため、ミルガウスはグリーンガラスのみのラインナップとなりました。
スポーツロレックスの場合、デビュー後10年を経たずに生産終了となることは珍しく、2007年にデビューしてから10年未満の116400の生産終了は、いかに不人気であるかということが分かる出来事だと思います。
つまりミルガウス、一時は人気モデルとなったものの、現行モデルとして復活し定着したら、再度不人気モデルになってしまったのです。
しかし、現行当時の不人気モデルこそ、生産終了になってからじわじわと人気が出る傾向があるのがロレックスの特徴です。
そして、この116400の黒文字盤、よく眺めてみると、なんだか1019のような雰囲気でとても格好良いと思います。
2007年にデビューした際の新型ミルガウス116400はグリーンガラスの116400GVに人気が集中しました。
もちろん黒文字盤の116400も人気モデルとして注目されていたことに変わりはありませんが、116400GVの人気は前途のように高いときでは140万円以上のプレミア価格となっており、群を抜いて高かったのです。
しかし、今あらためてミルガウスを見てみると116400黒文字盤が1019に最も似ており、なんだか非常にグッときます。
特に、価格.comの製品一覧で、新品の116400黒文字盤が116400GVより高く売られているのを見ると、逆にレアなモデルという印象を抱き、緑ガラスでないこの黒文字盤が非常に輝いて見えるのです。
ミルガウス自体の存在意義
通常クリスタルの116400が生産終了となったミルガウスですが、グリーンクリスタルの116400GVを含め、ミルガウス自体の存在意義がここ何年かの間に問われています。
というのも、2013年にオメガが15000ガウスにまで耐えられるムーブメントを発表したため、1000ガウスまでしか耐えられないミルガウスは、たった15分の1の性能という不名誉な位置づけとなり、生産終了の噂が広がっています。
ミルガウスの耐磁構造が、ムーブメントを耐磁ケースで囲っているのに対して、オメガの場合はムーブメントの素材自体を磁気に強いパーツで造るというアプローチ。
その結果、オメガの耐磁時計は、耐磁であるのにもかかわらず裏スケ仕様を採用しており、耐磁ケースで分厚いミルガウスに対して圧倒的な優位性を保っているようにも見えます。
しかもオメガ自体が、ミルガウスを持ってきてわざわざ比較しているという動画も存在。
そして、オメガの場合、ロレックスのように耐磁ムーブメントを1つのモデルに限定することなく、通常モデルにも取り入れたため耐磁という性能を当たり前のものにしようとしています。
このような事情により、ミルガウス自体の存在意義を危惧する声があがり、ミルガウス生産終了の噂が広がるようになりました。
しかし、重要なのはスペックだけではないと思います。
例えば、車の場合、V12より速い直列4気筒のターボがあったとしてもV12の存在意義は脅かされることはありません。
確かにV12には静粛性というメリットも存在しますが、単に速さを求められるスポーツカーの場合でも遅いV12に価値を見出す人は多いのです。
それと同じなのが、この116400だと思います。
確かに、耐磁性能ではオメガの新ムーブメントに負けていますが、ミルガウスの良さは耐磁性能だけではありません。
この116400、Cal.3131というムーブメントを搭載しているのですが、これはミルガウス専用のムーブメントです。
通常の3針仕様において、1つのモデルに対して特別なムーブメントを用意するというのは非常に珍しい例なので、ロレックスの気合がわかります。
また、116400GVに採用されているグリーンクリスタルも気合の1つ。
現在ロレックスの公式ホームページ見ると、グリーンクリスタルの説明に「特許未取得」と書かれており、「非常に高度な技術を要するため、製造を試みる者がいないこと。」という理由で特許をとっていないとのこと。
つまり、このミルガウスは、ロレックスが非常に力を入れて作ったモデルなのです。
グリーンクリスタルと通常モデル、どちらが良いか
現在不人気かつ、一見しただけではその良さが分かりづらいミルガウス。
しかし、良く見てみると、実は非常に凝ったモデルだということが分かります。
まして116400の見た目は、人気モデルの1019を彷彿とさせるところがあり、すでに生産終了。
特に黒文字盤の116400は遠目で見ると1019のような魅力があるのです。
この116400、現在の相場は50万円前半といったところ。
2011年と比較すると約14万円値上がり中ですが、他のスポーツロレックスと比べると値上がり額は低いため、現在スポーツロレックスとしてはお買い得な部類に入ります。
しかし、グリーンクリスタルの116400GVのほうは2011年と比較して値上がりした額が10万円以下という状況。
つまり、ロレックスとしてはかなり値上がり額が低いため、GVはこの116400と比べるとかなりお買い得なのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2011年4月 の安値(ヤフオク) |
2016年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ミルガウス 黒文字盤 116400 |
中古 | 5年 8ヶ月 |
¥398,000 | ¥537,840 | 139,840 | 135.14% |
過去相場と現在相場の比較ではお買い得に見える116400GV。
しかし、最近はグリーンクリスタルモデルは目立ちすぎるという理由で、通常クリスタルのほうが人気という状況。
そして、高値のアンティークモデルとして名高い1019の見た目に最も近い116400の黒文字盤は今後「かっこいい」モデルとして注目されそうだと思います。
とはいえ、116400GVも、
というグリーンクリスタルの存在が大きいのも確か。
しかも2013年頃までの生産モデルまでは、文字盤の発光塗料がルミノバとクロマライトのコンビ仕様というところまでこだわっていたため、今後その文字盤を搭載した年式モデルに注目が集まる可能性もあります。
よってミルガウス、現在のロレックス相場においてお買い得な腕時計というだけではなく、紐解いてみると非常に魅力のあるモデルであるため、今後に非常に期待ができます。
しかし、上記の通り、116400GVを選ぶか、116400を選ぶかが非常に難しいところ。
どちらも値上がりする可能性を秘めているとは思いますが、びっくりするぐらいの値上がりとなるのはどちらか1つのような気もします。
いずれにしても、ミルガウス、今とても楽しいロレックスであることは間違いありません。