1998年にブルガリは「アルミニウム」というカジュアルモデルを出して大ヒットさせましたが、その前年である1997年にもカジュアルモデルを出していました。
それがこのソロテンポです。
アルミニウムがスポーツタイプのカジュアルモデルだったのに対して、どちらかというとフォーマルタイプなソロテンポ。
アルミという素材と斬新なデザインが腕時計業界に強い影響を与えたアルミニウムとは異なり、目立たないソロテンポは地味な安いブルガリという印象になってしまうかと思いきや、実は結構な数が取引されているある種の人気モデルです。
ブルガリのフォーマルウォッチといったらブルガリブルガリですが、イタリアンな印象のブルガリブルガリを北欧カジュアルっぽくしたのがこのソロテンポ。
ブレスレット仕様と革ベルト仕様があるのですが、どれも2針+デイト表示のクオーツタイプ。
ちなみにカジュアルモデルですが、金無垢仕様も存在します。
アルミニウムにも金無垢仕様があるのですが、さすがはブルガリ、宝飾ブランドだけにカジュアルモデルに対してもしっかりと金無垢仕様を用意しているのです。
新品で売られている頃より、当時のオメガ並の実売価格で売られていたソロテンポ。
いつの時代も安く手に入るブルガリという存在でしたが、最近はブルガリ全体が安くなってしまったために、このソロテンポも値下がりしています。
とはいえこの時計、元がやすかっただけに値下がりした額も低め。
しかし、この時計において、注目すべきは値下がりしたということよりも、取引量が多いということ。
つまり、これぐらいの値段でずっと売れ残っているというのではなく、比較的すぐに売れてしまう傾向があるのが面白いのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2011年1月 の安値(ヤフオク) |
2016年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ブルガリ
ソロテンポ ST35S |
中古 | 5年 11ヶ月 |
¥64,800 | ¥49,280 | -15,520 | 76.05% |
このソロテンポと同じ時期に新品で販売されていたオメガのダイナミックにも言えることですが、当時の最廉価モデルは結果としてマニアックなモデルという位置づけになったため、安価な価格の時計としては比較的程度の良い個体が多いという良さがあります。
例えば、当時同じく10万円台で購入可能だったアルミニウムの場合、多くの人が購入したため流通量は多いのですが、程度の良いモノがかなり少ない傾向です。
アルミニウムは時計の構造故に痛みやすいという性質があるのですが、頑丈なオメガシーマスターなどでも程度の悪いモノが多いため、多く流通するモデルは程度が悪い傾向なのです。
ですから、程度の良い個体が多いソロテンポはまさしく良い条件の腕時計なのです。
ブルガリというブランドは、ドンキホーテに売られている香水のイメージが定着し、なんだか身近な存在となってしまいました。
しかし、本来は何億円もする宝石を買ってくれる顧客を持っているほどの超高級ブランドです。
そしてそんな超高級ブランドが、カジュアルウォッチを出すというのもかなり珍しいこと。
確かに、アルミニウムのようなカジュアルモデルはインパクトを与えるには良い手法だと思うので今後も出てくるかもしれません。
しかし、このソロテンポのようにフォーマル系のカジュアルウォッチというものは、さすがにもう出ないのではと思います。
ということでこの時計、そのうちブルガリの腕時計として歴史的価値が出てくるかもしれません。
そんなことは抜きにしても、過去最も安くなっているということに加えて、程度の良い個体が多いという好条件で買える1本という価値ある存在です。