ブルガリアルミニウムへの対抗馬といった感じで、2000年にデビューしたカルティエの「スカフ」シリーズ。
3針機械式の「オートスカフ」、クォーツクロノグラフの「クロノスカフ」の2本立てで登場しました。
筆者調べではありますが、これらは“ラバー素材を使った初のカルティエ”だといえます。
2001年頃の新品実勢価格はオートスカフが約21万円、クロノスカフは約27万円でした。
同じ時期、ブルガリアルミニウムは、3針が約15万円、機械式クロノグラフが約26万円だったため、カルティエは高いと思った記憶が筆者にはあります。
ただ、新品実勢価格が高値だったため、その後の中古相場もこれらスカフシリーズは高く、リーマンショック後の相場でもクロノスカフは約24万円。当時のロレックスエクスプローラーと同水準といった相場だったのです。
ちなみに、当初は「オートスカフ」と「クロノスカフ」の2モデルといったラインナップ展開でしたが、その後は、「クロノスカフ」のほうを充実させていった経緯があります。
クロノスカフには、デビュー後にブレスレットタイプが追加されたり、白文字盤、ピンク文字盤などが展開。
その一方、このオートスカフは黒文字盤のみの展開で生産終了となった模様です。
そのためか、2010年代になってからの中古市場では、オートスカフの流通数が少なく、時期によっては売出しがゼロといったことも珍しくありません。
このW10147U2は、2021年、2022年といった時期においては、年間を通して“ほぼ流通がない”状態だったため、場合によっては入手困難ということがあるぐらいです。
ただ、入手困難とはいっても2021年頃までこのW10147U2相場は10万円未満といった水準。
同時期においてアルミニウムよりも高値だったものの、2017年頃から数年にわたって変化なしといった状態が続いていたのです。
そんなW10147U2ですが、現在相場はというと、なんと約18万円(ABランク以上)といった状態。
前回記事でW10147U2を取り上げた2018年9月水準に対して、実に2倍以上となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年9月 の安値 |
2025年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
ヴァンテアン オートスカフ W10147U2 |
中古 | 6年 7ヶ月 |
¥89,800 | ¥188,000 | 98,200 | 209.35% |
近頃といえば、2000年前後といった世代のカルティエが目立って上昇する様子がありますが、このオートスカフもまた、それらカルティエと同じような動きをしているといえます。
ただ、同じスカフシリーズでもクロノスカフについては、ABランク以上個体が約18万円といったところ。オートスカフの現在相場と同様であります。
ですから、オートスカフが特に評価されているといえるため、今回の動きは「カルティエ共通の動き」というよりも、オートスカフに対する評価が高まったといったところだと思います。
実際、オートスカフのライバルといえるブルガリアルミニウムも近頃上昇しており、3針のAL38AについてはABランク以上個体が約11万円といった水準。
以前であれば5万円台で入手可能といえたため、アルミニウムも結構な値上がりをしたといえます。
そういった意味でオートスカフの上昇は、ライバルであるアルミニウム相場、オートスカフの希少性といった観点から、納得の変動だと感じます。