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現在相場考察

ロレックスより人気だった、ブルガリスポーツLCV35S黒文字盤

2017年1月20日更新
ブルガリのスポーツLCV35Sについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2012年9月の安値(ヤフオク)と2017年1月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この4年4ヶ月での変動は¥-4,490だった。

スポーツ 黒文字盤 ステンレス LCV35Sについての考察(2017年1月)

ブルガリにはスポーツというモデルがありますが、2002年に「ディアゴノ」という名称に改名されたこととシリーズが増えたことにより、埋もれた存在となりつつあるようです。

この時計、2001年前後の新品実勢価格は298,000円(税別)と当時のロレックスのライバルといえる存在。

実際、同時期のサブマリーナノンデイト(14060)の新品が28万円(税別)ぐらいだったため、これら両者は完全に比較対象だったのです。

昔も今もロレックスはとても人気なブランドではあるのですが、2001年当時は今よりロレックスに対する反感が強かったのも事実。

“何も考えずにロレックスを選ぶ人が多い”というイメージより「自分はロレックスを選択したくない」と思った人も多かったのです。

しかし、それから10年以上を経て、当時ロレックスを意図的に避けていた人たちも一周回って「ロレックスはなんだかんだで良い」という評価になっています。

また、その頃ブルガリを選ぶというのは「ロレックスを避ける」というだけでなく「ファッション性がより高い」という理由もありました。

車で例えるなら、老舗のベンツEクラス(=ロレックス)にするか、お洒落なアウディA6(=ブルガリ)にするかを迷うという感じです。

ですから2001年当時においてブルガリスポーツとサブマリーナノンデイトなどは購入する際に「どちらにしようか」と迷われる存在だったのです。

しかし、今では両者はまったくもって比較対象ではありません。

かたや中古で50万円以上なのに対して、10万円以下で売られているブルガリスポーツ

2001年頃の事情を知らない人にとって、ブルガリスポーツとサブマリーナに親和性を感じる人はまったくもっていないでしょう。

ブルガリスポーツ」というモデルの考察

ブルガリスポーツというモデルは、名前の割にはどこがスポーツなのかが謎なモデルです。

防水性能が飛び抜けて高いわけでも無いですし、回転ベゼルを装備しているわけでもありません。

ブレスレット仕様はフォーマルモデルのブルガリブルガリにもあるので、ブルガリブルガリと見た目以外に違う点は無いのです。

また、当時のブルガリスポーツモデルにはもう一つスクーバというモデルがありました。

スクーバは回転ベゼルを備えた200m防水仕様。ブレスレットとラバーベルトタイプがあり、明らかに「スポーツ」タイプなモデルです。

よって、ブルガリブルガリスクーバに挟まれたスポーツというモデルは今では“なんだかよくわからない”という印象にしまいます。

しかしこのスポーツというモデル、2001年当時はその存在意図をきちんと認識できたのです。

というのも当時、ブルガリブルガリというモデルの知名度が今よりだいぶ高かったのです。

つまり、多くの人が時計を選ぶ際、今よりブルガリブルガリという時計の存在感が遥かに大きく、ロレックスもいいけどブルガリブルガリもいいな、なんて思われる存在。

そのブルガリブルガリにちょっと変化を加えた上級モデル、というのがこのスポーツだったのです。

33mmのブルガリブルガリに対して35mmというサイズのスポーツ

平面なベゼルのブルガリブルガリに対して傾斜が付いたベゼルの「スポーツ」。

そして、専用デザインのブレスレットと革ベルト

つまり、「スポーツ」というモデルはブルガリブルガリを基本として見るととても魅力的なモデルに映るのです。

特にブレスレットのデザインには定評がありますし、革ベルトだって中央が膨らんだデザインの凝ったモノ。

こういう小さな差が、ブルガリブルガリの上級モデルとして成立させていたのです。

一方その頃のスクーバといえば、この「スポーツ」に対して変わり種時計という印象。

回転ベゼルに「BVLGARI・BVLGARI」と入っていないデザインのスクーバ「異色なブルガリというイメージだったのです。

スポーツ」の今

つまり「スポーツ」というモデルを見るときに、「ブルガリブルガリ」というモデルが有名である必要があります。

さらに、それはブルガリブルガリ」「スポーツ」「スクーバというシンプルなラインナップだからこそ成り立ちます。

しかし、2000年代前半よりブルガリは様々な新シリーズを投入したり、過去モデルを生産終了にして新型を大量に投入したりするなどしました。

その結果、かつてのブルガリファンを含め多くの人にとって、ブルガリ腕時計の全体像がわからなくなってしまったのです。

かつて、実勢価格においても人気度においても立派にサブマリーナのライバルとして君臨していたブルガリスポーツ」。

それが上記の事情により不人気要素が広がり、今では10万円以下という、当時のオメガより安い価格で購入可能となっています。

ブルガリ ディアゴノ スポーツ LCV35S¥87,800〜¥186,800(2024年11月21日現在)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2012年9月
の安値(ヤフオク)
2017年1月
の安値(楽天)
変動額 残価率
ブルガリ
スポーツ
黒文字盤
ステンレス
LCV35S
中古 4年
4ヶ月
¥94,290 ¥89,800 -4,490 95.24%

なお、2001年頃、新品約30万円の「スポーツ」に対して新品約13万円だったオメガシーマスター120m(自動巻)は現在同じような中古相場です。

かつては、サブマリーナのライバルだったブルガリが、今10万円以下で購入可能というのは、昔では考えられないことなのです。

なお、ブルガリスポーツ」、新品当時約30万円という価格だったのにもかかわらず、流通量が多く、程度の悪いモノが多いという傾向があります。

とはいえ、この記事の個体はとても程度が良いのに10万円以下

ちなみに、2001年当時の約30万円という価格帯の時計でここまで流通量が多いというのは、その頃サブマリーナノンデイトよりも人気だったということを示していると思います。

なお、2012年の相場も程度が良い個体なので、「程度が良い」個体同意での比較をしています。

しかもこの記事の個体、写真掲載はありませんが、箱も保証書も付属品がバッチリな模様。しかもこの時計「グアムブルガリ正規店」と書いてあることから海外正規品だと見受けられます。

昔と比べてかなり安くなっただけでなく、2012年当時とほぼ相場が変わっていないブルガリスポーツ

今こそこの時計を検討する時期なのではないでしょうか。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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