デビューしたばかりの腕時計は高い相場であり、その頃買うと「高くつく」ということは知られていることです。
ですから、オトクに買いたければ、ちょっと待って相場が落ち着いてきた頃に買うのが良しとされ、実際デビューしてから1年ぐらい経った後には、その読み通り「落ち着いた相場」で購入できるケースが多々あります。
2013年にデビューしたこの黒青ベゼルのGMTマスター、116710BLNRもおそらくその例にもれない時計というイメージだったに違いありません。
この時計がデビューした2013年には既にロレックスは全体的に値上がり状態でしたし、それまでの常識ではステンレスのGMTマスターの近代的なモデルが100万円に違い額というのも考えられないことでした。
実際、5桁リファレンスの16710は2012年頃において既に高くなった時計でしたがそれでも30万円台で中古が購入可能。
そして2013年12月という同じ時期において、6桁の黒ベゼルモデル116710LNの新品は55万円程度で購入可能でした。
つまり、同じモデルなのにベゼルの色の差で約37万円という壁があったのです。
よってこれらの事情を考慮すると、この116710BLNRの90万円台前半という当時の新品相場は明らかに高く、デビューした直後の「流行りモノ」相場だと思うのは自然なことだと思います。
色付きベゼルはかつて不人気要素でしたが、2007年に16710が生産終了になると一気に人気要素になりました。そして、それから6年を経て復活した色付きベゼルですから、この時計は注目されて当然。
しかし、生産されていない時代において人気になった要素は、復活したら再度不人気に戻ってしまうという事例があります。
まさしくその例がミルガウスであり、復活した際にプレミア価格だったものの、今では不人気モデルとなっています。
けれどもこの116710BLNRは、もうすぐデビューしてから4年の月日が経ちますが、未だに値崩れしていません。
むしろ、デビュー直後の新品相場より現在の中古相場が高いという現象が起きているのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2013年12月 の新品価格(時計店5社平均) |
2017年1月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター2 116710BLNR |
新品 | 3年 1ヶ月 |
¥919,030 | ¥959,040 | 40,010 | 104.35% |
116710BLNR、4年近くもこの水準の相場を保ち続けているというのは、もやは「流行りモノ」相場という域を脱していると思います。
今後下がる可能性は否定できませんが、それでも4年間この相場を保っているというのは、この時計の基準値としてこの額が自明なのであり、これを基本として今後他の時計を検討することになると思います。
この時計の現在の立ち位置が、かつてのエクスプローラ14270/114270とイコールだと考えるとなかなか面白いと感じます。