パシャCといえば、白文字盤と黒文字盤が最も印象深い存在。
この白文字盤と黒文字盤がデビューしたのは96年頃。
95年に登場したパシャCの中では初期に近いモデルなのですが、デザインが良く今でもパシャCの中で人気なのはこのあたりの年式だと思います。
パシャCにはざっと3種類あり、当初はこの白文字盤のように4時あたりに位置する拡大鏡付きのデイト表示だったのですが、2000年の春頃にビッグデイト仕様となりました。
そして、2000年代後半には再度スモールデイトへと戻るのですが、その際のスモールデイトには拡大鏡がありません。
また、同じスモールデイトでも拡大鏡付きのモノは日付が文字盤上の数字と並行になるように調整されているのに対し、拡大鏡無しのモノはベゼルに並行するように斜めを向いた日付表示となっています。
さて、これだけでもパシャCは意外に見るべきポイントが多い時計。
しかし、細かく見ようと思ったらもっと掘り下げることが可能なのです。
中でも人気のある白文字盤については、年式によって細かい仕様違いがあるため、見るポイントが多いのです。
初期の白文字盤は、秒針の先がフラットなのですが、それ以降のモデルは秒針の先に発光塗料があります。
また、文字盤下のSWISS表記部分にも様々な仕様が存在。
そして、この「L SWISS MADE L」と書かれたモデルは、最終型にあたります。
この仕様、出たのが98年の終わり頃から99年頃なのですが、前途のように2000年の春頃にはビッグデイト仕様となったため、1年程度しか生産された期間がありません。
そしてこの仕様だけ、他の年式と異なる点が何点かあり非常に興味深い存在です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年7月 の安値(ヤフオク) |
2017年2月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャC (L SWISS MADE L 表記) W31015M7 |
中古 | 0年 7ヶ月 |
¥148,000 | ¥162,000 | 14,000 | 109.46% |
それは、裏蓋が他の年式の白文字盤と異なるのです。
上の図のように、パシャCの裏蓋には大きく新裏蓋と旧裏蓋が存在するのですが、それが切り替わったのがこの「L SWISS MADE L」が出たタイミングなのです。
ビッグデイトだと全ての裏蓋は新裏蓋しかありません。
一方、黒文字盤や多くの白文字盤、そしてグレー&ピンクのグリッドモデルは裏蓋が旧裏蓋仕様です。
ですから、人気のある初期デザインで新裏蓋を有するものは白文字盤と黒文字盤しかありません。
しかし、黒文字盤は長らく形を変えず作られたため、新裏蓋のモデルは珍しくないのです。
一方、白文字盤の新裏蓋は「L SWISS MADE L」仕様しかありません。
よってスモールデイトの白文字盤で新裏蓋というのはかなりのレア仕様なのです。
ということでこの最終型白文字盤、ルミノバ仕様の文字盤と新裏蓋により“新しさを感じる初期モデル”かつ生産年数が短く数が少ない、ということで筆者はかなり昔からグッときています。
こまめにチェックしていてもこの仕様、なかなか出ない傾向で、最近は1年に1本見かけるというほど希少な存在。
この「L SWISS MADE L」について興味深いのは、他の年式だと白文字盤がアイボリー化している個体があるのに、この最終型はアイボリーになっている個体を見かけたことがありません。
おそらく、トリチウム塗料の前期文字盤から何かしらの改良が行われたのだと推測できます。
ですから本記事の個体は久しぶりに登場した「L SWISS MADE L」という最終型の白文字盤という希少なモノ。
しかし、1つだけ問題があります。それは、ブレスレットの長さが15cmしかないという点。ここまで短いということは、前オーナーは女性だったのでしょう。
パシャCが女性モノと評価されることによる影響はこういったところにも出ているのが勿体無いと感じます。