最も購入する人が多い高級腕時計といったらコレ、というほどメジャーなオメガのスピードマスタープロフェッショナル。
90年代後半の時計ブームより多くの人が購入した人気のモデルであり、今でも新品がAmazonで販売されているほど身近な腕時計。
先程もドンキホーテでこの3570.50が32万8000円という価格で新品で販売されているのを見かけました。
この3570.50、何かと身近すぎるため、ありがたみはかなり薄い印象ですが、よく考えてみると“NASA公式&月に行った”という強い個性があるモデル。
裏蓋に刻まれた文字や、“ムーンウォッチ”という愛称からも、NASA公式であるというのは有名な話です。
しかし、NASA公式という事自体よりも、実はすごい要素がこのモデルには存在。
それは、1960年代から基本形を変えずにラインナップし続けているという点です。
同じくオメガのシーマスターのように歴史あるモデルでも何度もモデルチェンジを繰り返すというのは普通なこと。
また、パテックフィリップのノーチラスやロレックスGMTマスターのように、原型はとどめているけれども、目に見える変化をしているという時計も多々あります。
ですから、このスピードマスタープロフェッショナルのように50年近くも形を変えずに作られているというのはかなり珍しい存在なのです。
1960年代のロレックスといえば、現在“アンティーク”と呼ばれるようにそのクラシカルさが希少価値を生んでいる状況。
その“アンティーク”と同じ時代から形を変えていないというのは、このスピードマスタープロフェッショナルの最も大きな特徴だといえるでしょう。
とはいえ、同じような見た目でも何度か小変更はしたため、50年間ずっと同じというわけではありません。
では、今でも新品が売っているこの3750.50がいつ出たのかというと1997年頃。
つまり、小変更があったとはいえ、約20年もの間ずっと変わらずラインナップされ続けているかなりの長寿モデルなのです。
そしてこの時計、先の通り90年代後半の時計ブームの際も多くの人が新品で買ったというように、長らく主要な高級腕時計として君臨し続けているというのが興味深い点。
多くの人が最初に買う高級腕時計として人気も高く、流通本数も多いという事情がありながらも、形が変わらないという側面があるというのは、かなり面白いと思います。
これだけ長寿モデルかつ長い間人気モデルであり続け、数多くの個体が流通するスピードマスタープロフェッショナル。
数が多く希少性に乏しいにもかかわらず、なんと2013年と比べて10万円以上の値上がりをしているのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2013年1月 の安値(ヤフオク) |
2017年2月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
スピードマスター プロフェッショナル 3570.50 |
中古 | 4年 1ヶ月 |
¥149,800 | ¥268,000 | 118,200 | 178.91% |
オメガだろうと他のブランドだろうと、これだけ人気の高いモデルとなると、その人気を失わないようにモデルチェンジを行うというのは一般的なことです。
しかし、このプロフェッショナルが長らく同じ見た目でラインナップし続けているのは、まさしくNASA公式として月に行ったからでしょう。
実際、同じスピードマスターの中には時代ごとに、その時代の特徴を備えるモデルが登場しています。
70年代には70年代だと感じさせるデザインのモデルがありますし、90年代には液晶文字盤も存在。
また、オートマティックなどの廉価版やブロードアローのような高級機種も存在。
そんななか、“ムーンウォッチ”というこのモデルだけは「月に行った」という強い特徴があるためオメガはあえて作り変えていないのです。
そして、作り変えなくても人気は衰えることが無いというのが凄いポイントです。
まして流通量が多いにもかかわらず、中古相場も先のように値上がり現象。
やはり「良いものは良い」ということなのでしょう。
良いと評価されるモデルでも頻繁にモデルチェンジをする時計ブランドが多いですが、このスピードマスタープロフェッショナルの事例は他のメーカーも参考にすべきだと思います。