90年代後半からの時計ブームより20年近く、人気度・価格ともに高級腕時計の王者に君臨し続けているデイトナ。
今ではステンレスモデルでも定価は100万円以上であり、実勢価格との差は前より少ない傾向。
それでもプレミア価格状態に変わりはありません。
ただ、16520の場合、定価が65万円(税別)だったため、ロレックスブーム時における新品実勢価格と定価の差が激しいモデルでした。
同じ頃、エクスプローラ14270もプレミア価格として有名な存在。しかし、エクスプローラの場合、34万8000円(税別)という定価に対して当時の実勢価格は45万円程度。
よって、定価と実勢価格の差が40万円程度という水準だったのがデイトナなのです。
ですから、新品で売られている時代において、「定価より40万円高い状態なのだから、ちょっと経てば65万円以下になる」と考えた方もいるでしょう。
しかし、2017年におけるデイトナの中古価格は、2000年のプレミア価格より遥かに高い水準です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2000年11月 の安値(有名時計店2社平均) |
2017年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
デイトナ 黒文字盤 16520 |
新品 | 16年 4ヶ月 |
¥1,099,508 | ¥1,490,400 | 390,892 | 135.55% |
例えば、1本目に10万円台のオメガ、2本目に30万円台のロレックスを経験した人がいた場合、3本目に買う時計の予算はより高くなるという傾向があります。
2001年頃にポストロレックスとして注目されたパネライとフランクミュラーの当時人気だったモデルの実勢価格もロレックスよりちょっと高いというポジション。
そして、その3本目に買う時計として最もステップアップした選択というのがデイトナだったでしょう。
とはいえ、このデイトナは、先の通り2000年当時でも定価を遥かに上回る実勢価格だったため、お買い得感は皆無だったのです。
しかし、そんな超人気のデイトナを当時何も考えず新品で買ったとしても、その17年後に当時買った価格より高くなっているというのはすごい現象といえるでしょう。
実際、2000年においてエクスプローラやデイトナが90年代前半より遥かに高くなったということは知られていることであったのですが、それは4桁リファレンスの一部モデルに限られるだろう、という漠然とした印象もありました。
よって、当時現行だった5桁リファレンスのロレックスがここまで値上がりするとは誰も予測できなかったと思います。
けれども、17年後の今において答え合わせをしてみると、デイトナを買うことは「正解」だったということになるのです。
ちなみに、2000年におけるデイトナの最新モデルはA番ですが、必ずしもA番だとは限らないため、この記事の個体は現在最も安い個体を選定しています。
もしもA番同士で比較した場合、その値上がり額はもっと高い水準となります。
2001年頃、アクアノートやロイヤルオークを買っても値上がりでしたが、「何も考えずに一番人気のデイトナを買っても大幅値上がり」というのはなかなか面白い事例です。