ミルガウスといえば、最近現行モデルの116400のイメージですが、かつては「幻のモデル」としてミルガウス=1019、という印象が最も強いものでした。
ミルガウスの1019は1960年代に登場してから1990年頃まで40年近くもの間生産され続けた長寿モデルです。
しかし、現行当時は不人気だったという点から、流通量が多くなく、時計ブームのようなきっかけから需要が増えると、一気に供給が間に合わなくなるのです。
そのため、90年代後半の時計ブームの際には既に200万円程度という相場まで上昇。
当時、同じような相場だったのは今では1000万円近くする4桁リファレンスのデイトナだったりしたため、「最も高いアンティーク」というイメージもあったのです。
そして2007年にミルガウスが復活し、116400が出た際もその「希少」というイメージにより、新型ながらもプレミア価格状態になり、最も高い時では116400GVが180万円で売れていたこともありました。
しかしその翌年の2008年、リーマンショックが起こると116400GVは一気に100万円近くも大暴落。
それから116400は普通のロレックスとして、特にプレミア価格にもなることなく常識的な値段で売られることになります。
けれども1019のほうは、116400の影響を受けること無く、常に高い状態をキープしています。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年7月 の安値(ヤフオク) |
2017年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ミルガウス 黒文字盤 1019 |
中古 | 6年 8ヶ月 |
¥1,898,000 | ¥2,698,000 | 800,000 | 142.15% |
この1019、アンティーク人気モデルの代表格であるエクスプローラの1016が60万円程度まで下落した2010年頃でも180万円以上という額をキープ。
そして、そこから今に至るまで80万円の値上がりをしています。
とはいえ、1019において難しい点が存在。
それは、相場が安定しないという点です。
1019は今のようにロレックス全体の相場が高いときでもたまに2010年と同じ水準で取引されることもあるのです。
しかし、よく見てみると条件が違うということもあり、一概に判断することはできません。
また、この記事の個体のようにロレックスの修理明細書が付いているモノでも、200万円台から500万円台まで存在し、相場の見極めが難しく感じます。
では、この記事の269万8000円という明細書ありの黒文字盤の評価はどうなのかというと、今の相場において相対的に判断した場合、安く感じます。
1019の場合、黒文字盤と銀文字盤が存在しますが、昔から特に人気で高いのが黒文字盤。
ですから黒文字盤かつ、修理証明書付きという「本物証明」がある個体が260万円台というのは安く感じるわけです。
また、安い時期で180万円程度、高い時期で270万円程度というのは、ノーチラスのパワーリザーブ(3710/1A)と同じです。
人気度や希少度から考えると、ノーチラスの相場と同じというのは分かりやすく、この個体の価格は相場を示すのに適正だと言えるでしょう。
人気も価格も高い1019ですが、意外に相場を見極めるのが困難な腕時計なのです。