2001年頃より、ロレックスの次に買う時計、としてパネライと共に注目され始めたフランクミュラー。
本格的に流行り始めたのは2002年ですが、雑誌や時計店において姿を見せ始め、「通な1本」として購入の対象となりはじめたのが2001年夏頃でしょう。
その頃の人気文字盤といえば、ロレックスを筆頭に黒文字盤が非常に強かったのですが、フランクミュラーの場合ピンク文字盤がなかなか人気な様子でした。
当時も今も、同じモデルでも文字盤色によって新品実勢価格が違う傾向があります。
当然人気なモデルが高い傾向なのですが、フランクミュラーの場合、5850サイズだと黒文字盤が他より2万円程度高値、2852サイズだとピンク文字盤が高いという印象。
そして、そのどちらも実勢価格は60万円近くするという高価格帯。
当時の新品60万円という価格をロレックスに当てはめると青サブ、つまりコンビとなり、ステンレスで60万円台というモデルはデイトナを除いて存在しませんでした。
その頃、エクスプローラは114270が出たばかりで、相変わらず定価を上回るプレミア価格状態だったのですが、そのエクスプローラよりも高かったのがこのカサブランカ。
そして、これだけ高いカサブランカがフランクミュラーの中でもっとも安い存在である、というのも高級感の演出として好材料だったのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2001年8月 の安値(2社平均値) |
2017年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フランクミュラー
カサブランカ 黒文字盤 ブレスレット 5850 |
新品 | 15年 7ヶ月 |
¥575,400 | ¥378,000 | -197,400 | 65.69% |
その頃、実はこのカサブランカより安い価格でロイヤルオークもオーバーシーズも手に入りました。
よって、フランクミュラーより三雲ブランドを買ったほうがお得感はあったのです。
しかし、その頃三雲ブランドというと、今よりかなり「雲上」という印象が強い状況。
ですから、フランクミュラーという新しいブランドで、高級感があるにもかかわらず一番安いカジュアル感、というのがツボに見えたのです。
実際、フランクミュラーは三雲ブランドよりも“分かりやすい”見た目のため、所有満足感の高さに作用したのでしょう。
フランク三浦、というパロディ商品でも使われる文句ですが、「天才時計師」というイメージは、時計に詳しくない学生などにも大きなインパクトを与え、「フランクミュラー=高い」というイメージを定着させることにも成功。
ですから、三雲ブランドよりも親近感があり、人にも自慢できるというこのフランクミュラーは「ロレックスの次に買うステップアップの時計」というポジションにぴったりだったのです。
しかしカサブランカ、時計の造りはロイヤルオークと比較できるレベルに無く、中身のムーブメントもこの価格帯には不適当という印象。
ですから、2001年の相場は割高、という印象でもありました。
そして、すぐに値下がりするかと思いきや、意外にも値下がりすることなく人気が継続。
しかし、ここ5年ほどで一気に安くなったのです。
よって2001年と比べてカサブランカは約20万円の値下がり状態。
ちなみに、カサブランカの中古が新品より高くなったことはなく、2001年から長い時間をかけてゆっくり値下がりし続けたという印象です。