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現在相場考察

アクアノート・ロイヤルオーク・オーバーシーズ、どれを買ったら良かったか

2017年3月21日更新
パテックフィリップのについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2001年秋頃の安値(主要販売店)と2017年3月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。このでの変動は¥222,010だった。

オーバーシーズ 白文字盤 ラージ 42042/423Aについての考察(2017年3月)

パテックフィリップオーデマピゲ、ヴァシュロンヴァシュロンは雲上時計と呼ばれる存在。

今ではこの三雲時計のスポーツモデルは「人気モデル」として多くの人が憧れるモデルです。

しかし、高級腕時計がブームとなってから3年程度という2001年において、雲上時計の印象は今とは異なりました。

当時の雲上時計に対するイメージは、革ベルトのシンプルな3針かコンプリケーションモデル。

その頃、ロレックスの次に買う時計として、ロレックス以外のブランドが注目されたのですが、これら雲上時計は「雲の上」という遠すぎる存在として注目されることはありませんでした。

ですから注目されたのは、雲上より親しみ安いパネライとフランクミュラー

特にフランクミュラーは、高級な複雑時計というキャラクターと、新しいブランドということが相まって人気でした。

その頃、人気だったのがカサブランカのブレスレットモデル。

フランクミュラーの中で最も安い価格帯に位置したカサブランカですが、それでも約60万円という価格でした。

当時の約60万円という価格は、青サブと同程度という水準であり、デイトナ以外のステンレススポーツロレックスより高い価格です。

そして、驚くべきはその頃、ロイヤルオークオーバーシーズの新品が約55万円だったため、カサブランカよりも安かったのです。

もしもその当時カサブランカを買った場合、今頃20万円以上の値下がり状態ですが、雲上スポーツを買った場合は、どれも値上がり状態。

2001年当時、雲上スポーツを買う人は少数派でしたが、その際検討されたのが、アクアノートロイヤルオークオーバーシーズという3本。

そして、どれを買ったら正解だったのか、2017年の今答え合わせができるのです。

アクアノート

アクアノートはこの3本中、唯一の裏スケかつ自社製ムーブメントというモデル。当時の実勢価格の高さからも分かる通り、他の2本より1つ上の存在と見ることもできます。ラバーベルトモデルはブレスレットより10万円程度安かったのですが、それでも他の2つと比べて高いということは変わりません。

ですから、ちょっと高いという存在だったこのアクアノート

手を出しづらいかといったら、そんなこともなく、これでもデイトナよりだいぶ安かったのです。

2001年当時、同じような価格帯だったのがまさにヨットマスターロレジウム。

その頃、この価格帯だとアクアノートよりロレジウムを買う人が圧倒的に多かった印象です。

ロレジウムとアクアノート、どちらを買えば正解だったはもうお分かりの通り、アクアノートの圧勝です。

このアクアノート、今では世界中で人気の時計。中古相場もかつての新品実勢価格の倍に近いほど上昇しています。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2001年秋頃の安値(主要販売店) 2017年3月
の安値(楽天)
変動額 残価率
パテックフィリップ
アクアノート
5065/1A
新品 15 ¥928,620 ¥1,780,000 851,380 191.68%

ロイヤルオーク

2001年当時、医者の方でロイヤルオーク着けている人を多く見かけましたが、その姿は非常に高い時計をされているという印象で、実勢価格の約55万円よりも高く見えた時計です。

今もそうですが、ロイヤルオークは当時これよりオフショアのラバーベルトモデルが注目されていたため、このシンプルな3針ブレスレットモデルを店頭で見かけることはほぼありませんでした。

その頃、店頭だけでなく、雑誌の売り出し情報やネットにおいてもアクアノートより遥かに見かけることが少なかったこのロイヤルオーク

2001年においての新品実勢価格が約55万円だったということは驚きですが、その印象の通り、当時の実勢価格約55万円に対して、値上がりした額が約63万円と、値上がり額が本体価格を上回るという水準で上昇しました。

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2001年秋頃の安値(主要販売店) 2017年3月
の安値(楽天)
変動額 残価率
オーデマピゲ
ロイヤルオーク
青文字盤
14790ST
新品 15 ¥550,305 ¥1,185,840 635,535 215.49%

オーバーシーズ

2001年のオーバーシーズの実勢価格はロイヤルオークと同じで約55万円という水準。

その頃の約55万円という価格はスポーツロレックスに少し足したら買える、という印象です。同じ時期における、雲上時計のイメージはどんなに安いモノでも100万円以上と思っている方も少なくなかったため、約55万円で売られているオーバーシーズはお買い得な時計に見えました。

オーバーシーズがデビューしたのは96年ですから、2001年当時はデビューしてから5年程度という状況。ですから、新しいのにお買い得なオーバーシーズこれら3本の中で最も手を出しやすいモデルだったと思います。

また、中古にまで視野を広げると、10万円程度安かったため、40万円台で購入可能という雲上スポーツだったのです。

また、ロイヤルオークとは違い、お店でも雑誌でも売りに出されている個体がそれなりにあったため、入手難易度も相場観も掴みやすい時計でした。

この3本の中で、最も身近な印象のオーバーシーズですが、2001年から15年かけて値上がりした額は約22万円と最も安い水準です。

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2001年秋頃の安値(主要販売店) 2017年3月
の安値(楽天)
変動額 残価率
ヴァシュロンコンスタンタン
オーバーシーズ
白文字盤
ラージ
42042/423A
新品 15 ¥545,790 ¥767,800 222,010 140.68%

アクアノートロイヤルオークオーバーシーズどれを買えば良かったか

これら3本のモデル、2001年秋頃より15年経った今、すべてのモデルが値上がりしているというのはさすが雲上時計だと思います。

しかし、値上がり額はそれぞれ異なり、どれを買ったら最もよかったかというとアクアノートが正解です。

値上がり額もそうですが、2001年において人気の無かったアクアノートが、今では世界中で憧れられる時計にまで変化したのは興味深い現象です。

また、利回りという観点ではロイヤルオークのほうが優秀であり、買った額以上に値上がりした額が大きいというのは、かなり満足する体験となったでしょう。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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