今年、2017年のバーゼルで最も注目を集めたのは「赤シードゥエラー」でしょう。
“赤サブ”や“赤シード”といえば、少なくとも20年近い間にわたり、人気かつ高値のアンティークロレックスとしておなじみの存在。
ロレックス社はとっくの昔にその人気に気づいていたでしょうが、長らく人気のある「赤シード」を復活させなかったのはあえてだと思います。
ですから、このタイミングでの“赤シード”の復活はかなり不思議なのです。
以前、ロレックスはアンティークの人気モデルを復活させた場合、意外に人気とならなかったという経験があります。
そのモデルこそミルガウス116400であり、最近は不人気ゆえに生産終了の噂すら流れる始末。
ミルガウスが出たのは2007年ですが、それから10年経ったこのタイミングで“赤シード”を復活させた、ということなのでしょう。(もしかしたら10年後の2027年にも何か別の復活があるかもしれません)
ミルガウスの場合、新型として登場した時期はプレミア価格になり、それが1年以上継続。
しかしその後、ミルガウスは大暴落してプレミア価格どころか定価を割る相場まで下がります。
では、同じくミルガウスのアンティークモデル、1019はどうだったかというと116400の大暴落の影響を受けなかったのです。
赤シードが復活し、現行モデルになるということは、「赤い表記で書かれたシードゥエラー」自体の希少性がなくなるようにも思えます。
しかし、新型の登場は、アンティークへの注目を施す効果はあっても、決して「赤シード」や「赤サブ」自体の希少性を下げるものではありません。
仮に新型がかなりの数が出回ってしまい、新型赤シードがミルガウス116400のようになってしまったとしても、4桁リファレンスに対してマイナスとなる影響ではないのです。
ではこのアンティークの“赤シード”1665がどのぐらい凄い時計かというと、2010年と比べて値上がりした額が128万円という脅威の水準です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年5月 の安値(ヤフオク) |
2017年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
シードゥエラー “赤シード” 1665 |
中古 | 6年 10ヶ月 |
¥2,000,000 | ¥3,280,000 | 1,280,000 | 164.00% |
人気の高いモデルはある時期において相対的に割高と感じても、その後の値上がり額がものすごい水準になるということがありますが、まさしくこの1665もその例です。
最近4桁リファレンスのロレックスはメンテナンスなどの課題もあり、価値が安定しない傾向もあるのですが、この赤シードに関しては、同じ条件下では相場は安定していると考えてよいでしょう。
今回比べた個体は、どちらの時期のモノも日本ロレックスにてメンテナンス見積済という条件。
オーバーホールはしていないものの、ロレックスが見積もりを出したということで本物証明が完了しているのです。
今年2017年に登場した新型“赤シード”は「SEA-DWELLER」の部分のみが赤文字ですが、アンティークのシードゥエラーはSUBMARINER2000の行まで赤文字という特徴があります。
赤文字部分が目立ってしまう今回の新型ですが、一番の特徴は、赤文字よりもサイクロップレンズの採用にあるかもしれません。
これまでシードゥエラーは高い防水性を実現させるためにサイクロップレンズが採用されたことはありませんでした。
よって、今回のモデルが初のサイクロップレンズ付きシードゥエラーとなるわけです。
赤文字部分が1行のみということやサイクロップレンズが採用されていることにより、見た目の印象は“赤シード”というより“赤サブ”に近い印象の新しいシードゥエラー。
“赤サブ”でも“赤シード”でもかなり高い時計であることに違いはありませんが、新型の登場により4桁リファレンスの相場がどうなるか楽しみです。