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現在相場考察

日本の常識が世界基準へ、ロレックス『赤サブ』1680

2017年4月9日更新
ロレックスのサブマリーナー1680について斉藤由貴生が執筆。本記事では2007年11月の安値(ヤフオク)と2017年4月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この9年5ヶ月での変動は¥598,000だった。

サブマリーナ “赤サブ” 1680についての考察(2017年4月)

赤サブというとロレックスブームが始まった90年代後半より、“価値あるモデル”という扱いを受けています。

その頃より4桁リファレンスのロレックス“アンティーク”と呼ばれ、クラシカルな見た目と個体数の少なさから高値の傾向でした。

そしてこの赤サブは、同じリファレンスの通常モデルに対してSUBMARINERの文字が赤いというだけで、通常の1680より30万円程度“割高”(90年代後半頃)だったモデル。

「ブルータス」といえば、毎号異なる特集を行う雑誌として長らくスタイルを変えず今でも続いていますが、そのブルータスが1999年に高級腕時計特集を行いました。

表紙には、

間違っていませんか、日本人の時計選び。
ロレックスが一番と思っていませんか!?
これが時計選びの世界基準です。

という文言が記載。

主な企画はアンティークロレックスに対する批判であり、国内評価と海外評価を比較し国内評価の異常な高値に対して疑問を呈すという趣旨でした。

しかし、その頃の水準でも赤サブは約46万円。比較対象となった海外の相場は約27万円と記載されています。

ちなみに、その際ブルータスは、この赤サブの高値に対し、

『同じモデルでもロゴが赤いと「赤サブ」といって価格が上がる。日本ならではのおめでたい珍現象がある。』とコメント。

しかしその後、日本の常識は世界標準となり、今では世界全体で「価値がある」と認識されています。

そして、2007年の時点ではこの赤サブ120万円という水準まで到達しています。

しかしこれは日本ロレックス修理証明書付きの個体であるため、他の赤サブより高めという事情も存在。

赤サブはリダンされた個体などが混じっているため、本物証明が難しい時計ですから、特に日本ロレックスの証明書付きという要素が重要です。

そして、同じく日本ロレックス証明書付きの個体は、今の相場水準では179万8000円という価格。

2007年は全体的にロレックスが高かった時期ですが、その頃より60万円程度値上がり状態です。

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2007年11月
の安値(ヤフオク)
2017年4月
の安値(楽天)
変動額 残価率
ロレックス
サブマリーナ
“赤サブ”
1680
中古 9年
5ヶ月
¥1,200,000 ¥1,798,000 598,000 149.83%

2007年の相場を今の相場と比べると、かなり安いという印象がありますが、2007年の翌年、2008年に起こったリーマンショックにより赤サブの価格は一旦下落しました。

そして、安い時期だと日本ロレックス証明書付きの個体でも60万円台という水準。

よって、そこから比べると値上がり額は100万円以上となります。

とはいえ、金無垢モデルなど100万円以上の値上がりは珍しくないロレックス

赤サブは知名度のある人気モデルかつ数も少ないのに、この値上がり額はまだまだともいえるでしょう。

筆者も連載している雑誌『パワーウォッチ』の最新号(93号)では、“スイス本国だと日本では修理不可能なモデルも修理できる”ということがクールオークション林さんの連載に書かれていました。

日本では本物証明に難のあるモデルも、スイス本国のように本物証明が可能となると、今後の4桁リファレンスに対する評価は今より高いものとなる可能性があります。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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