元祖三雲スポーツモデルとして1972年にデビューしたロイヤルオーク。
ジェラルドジェンタ氏がデザインした独特の見た目と裏蓋のない構造がとても魅力的です。
そして、この時計を魅力的だと思ったのは消費者だけでなく、造り手も同じだった様子で、ロイヤルオークデビューの4年後には、パテックフィリップよりノーチラスがデビュー。
ノーチラスも、魅力あるデザインと2ピース構造という独特の形状が採用されていますが、それも同じくジェンタ氏によるもの。
2000年代前後のロレックスブームの際には、これら2つの腕時計はあまり注目されていませんでしたが、今では多くの人にとって憧れの時計となっています。
90年代後半から2000年代前半まで売られていたノーチラスとロイヤルオークはともに33mm程度というケースサイズで、新品実勢価格もノーチラスが約80万円、ロイヤルオークが約55万円といったところ。
今では、その頃80万円程度だったノーチラスは200万円以上という水準まで値上がりしていますが、ロイヤルオークは高くても110万円という水準。
ノーチラスと比較して、値上がりが弱いとも感じるロイヤルオークなのですが、ノーチラスに負けないぐらい値上がりしているモデルも存在します。
それがこの“ジャンボ”と呼ばれる2針のロイヤルオークです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年9月 の安値(ヤフオク) |
2017年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オーデマピゲ
ロイヤルオーク 白文字盤 ジャンボサイズ 15202ST |
中古 | 6年 7ヶ月 |
¥868,000 | ¥1,698,000 | 830,000 | 195.62% |
この時計、2010年と比べて値上がりした額が80万円以上というかなり凄い時計。
ちなみに15202STというリファレンスが付くモデルには、現在240万円以上という相場の、もっと高いモデルが存在するのですが、これとは別のモデルです。
両者はリファレンスの一部も同じで、39mmというサイズも同じ。
しかし、文字盤上のAPロゴが12時位置にないモデルは、より薄いケースが採用された“エクストラシン”というモデル。
ちなみに、エクストラシンは紺文字盤ですが、この記事の個体である通常のジャンボにも紺文字盤が存在します。
エクストラシンの相場を見ると、安く感じてしまうジャンボですが、それでも現状相場はパテックフィリップに負けていない水準です。
ただし、それはアクアノート5065/1Aやノーチラス3800との比較した場合であって、2006年以降のモデルと比べると弱いという感じは否めません。
それでも、80万円以上という値上がり額はかなり立派なことに違いはないでしょう。
値上がり額がノーチラスと比べて低めという印象のロイヤルオークですが、この“ジャンボ”のようにしっかりと値上がりしているモデルも存在しているのです。
とはいえ、ロイヤルオークという時計、元祖三雲スポーツとしてノーチラスのお手本になったと言っても過言でないモデルながら、ノーチラスと比べると値上がり額が弱めという傾向は、ラインナップが多くて分かりづらいからでしょう。
ノーチラスのように、過去40年間で3700か3800か5711というぐらいシンプルなラインナップであれば、もっと人気が集中したと思います。
当然、ノーチラスにはパワーリザーブの3710や移行期の5800などもありますし、今ではコンプリケーションも存在します。
それを考慮しても、ノーチラスのラインナップはシンプルで分かりやすく、ユーザーがどれを選んでよいかが明白だと思います。
一方のロイヤルオークは、時間を使って調べても全体像を把握するのが困難であるほど複雑です。
ロイヤルオークといえば、ジャガールクルトベースのムーブメントが最も有名ですが、裏スケモデルは自社製機械のcal.3120という印象。
しかし、このジャンボやウルトラシンはジャガールクルトベースのCal.2121。
3針モデルの15300は自社製で、2針の15200はジャガールクルトベースなのです。
同じ時期に造られたモデルでも、15200と15300では搭載しているムーブメントが異なるという違いは“分かりづらい”と言われても仕方がありません。
もしもロイヤルオークのラインナップがもっと分かりやすくてシンプルだったならば、その評価がどうなるのか、非常に興味深いです。