フランクミュラーは今でも「高い腕時計」として高校生ぐらいの年齢層まで知名度のある存在です。
ブルガリやルイヴィトンと異なり、時計しか作らないブランドでありながら、このレベルの知名度があるのは他にロレックスぐらいしか無いと思います。
フランクミュラーが流行り始めたのは2002年頃からですが、その頃「ロレックスはいかにも」という風潮があり、ロレックスを避ける意味でもフランクミュラーは良い選択肢だったのです。
また、天才時計師という要素と、実際に永久カレンダーやトゥールビヨンなどの複雑時計を販売していることから、三雲ブランド並の「最高級」であるというイメージも獲得。
そのため、「ロレックスよりツウっぽくて高級」という“分かりやすい”記号を持つフランクミュラーの知名度は一気に高くなったのです。
2002年頃のカサブランカの新品実勢価格は約60万円という水準であり、当時のサブマリーナより高いのは勿論、ロイヤルオークやオーバーシーズよりも高かったのです。
そして、ひと目で“フランクミュラー”だと分かる見た目の分かりやすさも、人に自慢できるという所有満足感を満たしました。
しかし、そんなフランクミュラーは今となってはだいぶ安い評価。
ブレスレットのカサブランカは、今では33万4800円という価格で買うことができます。
しかもこれ、日本代理店経由の正規品(三越の印あり)です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2010年12月 の安値(ヤフオク) |
2017年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フランクミュラー
カサブランカ 黒文字盤 ブレスレット 2852 |
中古 | 6年 4ヶ月 |
¥350,000 | ¥334,800 | -15,200 | 95.66% |
カサブランカに対して最初に安いという印象を受けたのは、革ベルトモデルですが、その時期においてもブレスレットモデルは40万円台後半程度と今よりだいぶ高い傾向。
カサブランカのブレスレットモデルは、2015年頃から30万円台という水準になり、その様子は何度もお伝えしました。
しかし、30万円台前半というのはなかなか無く、特に正規品となるとプラスアルファ高いため、この条件で約33万円というのは更に安くなったという印象です。
カサブランカの場合、5850より小さい2852のほうが安い傾向なのですが、最近では2852のカサブランカも5850も相場が変わらない印象です。
通常、小さいサイズは好まれず、特にロレックスヨットマスターなどは40mmのメンズと35mmのボーイズで大きな価格差があります。
カサブランカの場合、最近2852サイズが美しくしっくり来るという評価もあるため、5850と相場が変わらないのかもしれません。
筆者は個人的にカサブランカの場合、2852サイズに最も惹かれます。
カサブランカが不人気傾向である理由はいくつもあるのですが、その大きな理由としてあげられるのがメンテナンスの不安。
フランクミュラーは日本代理店経由以外のメンテナンスを断るのは昔から有名ですが、それが中古相場にも影響を与えているのです。
実際、メンテナンスをするかは別として、不具合があったときにパーツすら手に入らないというのは不安です。
ですから、正規品と並行品の間にはいくらかの相場差があるのです。
よってこの記事の個体には、
- ブレスレット
- 正規品
という良い条件であるにもかかわらず、約33万円という価格なのはお買い得と思っても良いでしょう。
カサブランカはシンプルで独特の世界観もあり、なかなか良い時計だと思いますが、今となっては不人気傾向。
そして、定価100万円以上かつ、今でも新品が売られている現行モデルですから、とてもお得感は強いのです。
しかし、“分かりやすい”見た目のため、この時計が好きだから着けているにもかかわらず「自慢している」と誤解されてしまいそう。
かつては人気要素だった“分かりやすい”という要素は、今となっては逆の効果を生み出してしまっているのです。