ルミノールマリーナの中でも、ちょっと上級に位置するモデルとして2001年に追加されたパワーリザーブ。
絶妙な位置に配置されたパワーリザーブインジケーターが特徴的なこのモデルは、デイト表示、スモールセコンドとともに全体的なデザインバランスが独特でかっこよく、最近では60万円近くするというモデルです。
Dバックルとクロコダイルの革ベルトが標準装備というのは、ルミノールベースや手巻きのルミノールマリーナと比べて高級であるという印象を与えます。
しかしこのモデル、2002年頃のパネライブーム最中では、実はそこまで人気のあるモデルというわけではありませんでした。
というシンプルなルミノールベースのほうがこのパワーリザーブより高い価格で売られていました。
2002年当時は、エクスプローラやルミノールベースのようにシンプルな時計が好まれる傾向があったのです。
“あえてシンプルかつ安いモデルを選ぶのが格好良い”という風潮があり、多くの人がシンプルなモノを求めた結果、逆にシンプルな廉価モデルのほうが高いという現象が起きていました。
確かにシンプルなものは格好良いですが、高級なモノより高く買うというのはなんだかお得感が薄れるのも確か。
そう思った人が一定数いたためか、2007年頃にはロレックスにおいてもパネライにおいても、安いモデルがあえて高くなるという現象は落ち着きました。
とはいえ、最近のパネライ相場においては、きっちりとした価格序列が存在しているというわけでもありません。
44mm革ベルトモデルは手巻きでも自動巻でも大体40万円前後という価格帯ですし、GMTでも47万円前後。
しかし、パワーリザーブだけは非常に高い水準で、実際今でも50万円以上という価格を維持しています。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年10月 の安値(ヤフオク) |
2017年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00090 |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥598,000 | ¥534,600 | -63,400 | 89.40% |
(この間まで458000のがあったけど売れた)
2015年10月は60万円程度という水準だったパワーリザーブ。
かつてはGMTと同じような価格だったことから、一見するとパワーリザーブだけ飛び抜けて高いようにも思えます。
けれども、2015年においてGMTも50万円以上していましたから、両者の価格差を考慮すると、パワーリザーブが約53万円、GMTが約47万円という現在の相場はどちらも自然。
実際、2015年におけるルミノールベースの相場は46万円程度という水準でしたから、この時計がそれより10万円ちょっと高いというのは当然といえば当然だったのです。
しかし、このパワーリザーブが60万円というのはかつての価格を考慮すると「非常に高い」という印象になるのも確か。
2016年に入ると、パネライ全体が少し安くなったためこのパワーリザーブも50万円台後半から50万円台前半まで下落。
この値動きは、かつてのヨットマスターロレジウム16622と似ていますが、ロレジウムとPAM00090を比べると、PAM00090は“ちょっと高く”感じます。
しかし、この時計に関して考慮すべき点が1つあります。
それは、この時計がまだ現行であるという点。
最近のパネライは2000年代前半の面影をより一層感じさせなくなりつつあります。
そのため、生産終了になった際は、「良き時代」の名作として、注目されるかもしれません。
デビューしたのが2001年のため、2002年のパネライブームから今にかけてずっとこの時計に対して「レア」という印象はありませんが、生産終了となるとその認識は変わる可能性があるのです。