PAM00141はレギュラーモデルとして最後に登場した、ゼニス製ムーブメント「エリート」搭載のラジオミールです。
登場したのは2002年ですが、その年しか生産されず、生産された本数も500本と数が少ないモデルです。
500本しか生産されていないため、「限定モデル」という表記をよく見かけますが、このPAM00141は限定として売られたモデルではありません。
同じく2002年に出たゼニス製「エルプリメロ」搭載のPAM00122も限定ではありませんが、2002年のみの生産。
つまり、この2002年という年を最後にして、ゼニス製ムーブメントのパネライは生産終了となっているのです。(豪華限定モデルは2005年に販売あり)
パネライにおいてゼニス製ムーブメント搭載モデルが売られなくなったのは、ゼニス側が供給をストップしたのか、パネライ側が造るのをやめたのかはわかりません。
ちなみに、ゼニス社は1999年にLVMHグループ入りしているため、パネライの親会社であるリシュモンとはライバル関係にあたります。
いずれにしても2005年頃を境に、パネライがラジオミールをそれまでの高級モデルから、ルミノールと何らかわりのないグレードに変化させたのは確か。
実際、ダイヤモンド仕様のPAM00066などだとフレデリックピゲ製のムーブメントが搭載されていたため、パネライにはゼニス以外の高級ムーブメントを搭載するという選択もあったわけです。
このPAM00141が高級モデルのラジオミールとして最後のモデルになるわけですが、ステンレス製ということもあり、上記のような事前知識がないと2005年以降のラジオミールとの差がわかりづらく「高級モデル」として認識することはできないかもしれません。
しかし、ゼニスエリート搭載という“分かりやすい高級感”がこのモデルにはあるため、いつの時代も高値をキープしているのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年11月 の安値(ヤフオク) |
2017年5月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ラジオミール PAM00141 |
中古 | 7年 6ヶ月 |
¥581,000 | ¥692,000 | 111,000 | 119.10% |
2009年におけるゼニスエリート搭載の金無垢ラジオミールPAM00103の相場は85万円程度だったため、ステンレスのPAM00141が約58万円という額は自然だと思います。
その頃、ルミノールベースは25万円程度だったため、それを考えると高級モデルとしてふさわしい相場だといえるでしょう。
このPAM00141、エリート搭載モデルのアイコン的存在であるホワイトゴールドのPAM00062とピンクゴールドのPAM00103が40mmであるのに42mmというサイズ。
また、デイトの位置が62や103とは異なり、それらには無い拡大鏡も付いています。
そして、パネライとしては珍しくアプライド仕様のインデックス。
このような内容であるため限定モデルにも見えてしまいますが、これら珍しい仕様は金無垢モデルとの差の演出でしょう。
このラジオミール、ヨットマスターロレジウムなどのキャラクターとは異なり、高級感のあるカジュアルモデルというわけではありません。
単に高級ラジオミールシリーズのステンレスバージョン、という感じのモデルだと思います。
そうすると、一見中途半端なキャラクターにもなってしまいそうなところですが、このPAM00141からは高級感が漂っています。
その理由こそ、ラジオミールが高級モデルという位置づけだった時代に造られたモデルだからでしょう。
そして、現在の価格である約69万円という金額はパネライの中では高めで、このモデルにふさわしい価格にも見えます。
しかし、最近金無垢モデルであるPAM00103が130万円以上ということを考慮するともう少し高くても良いのではと思います。
また、6桁時代のスポーツロレックスと比べると安くも感じます。
高級モデルだった時代のラジオミールをロレックスより安く楽しめるというのは、かなり通な選択と言って良いでしょう。